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大人の食育

第1回 時間栄養学を知っていますか?

時間栄養学を知っていますか?

時間栄養学という言葉を皆さん、ご存知ですか?
現代の暮らしは大人から子どもまでが、夜型の傾向にあって、食事時間の乱れなどに起因する生活習慣病も増えてきました。そこで、これまでの栄養学で扱ってきた、健康な身体を維持するために、「何をどれだけ食べるか」の問題以外にも、食べる時間が重要であると考えられるようになったのです。食べ物の消化・吸収・代謝等に関連する―時間の栄養学―。不規則な生活をしているあなたにこそ必要な、この新しい栄養学の知識を解説します。

体内時計と食事の関係 生物はみな、地球の自転による24時間周期に体内の環境を変化させる機能を持っています。これを体内時計といいます。これは、24時間周期のリズム信号を発振させる機構で、生物時計とも呼ばれ、脳内の視床下部の視交叉上核(SCN)というところに存在します。人間にも、この機能が備わっていますが実はその24時間のサイクルは、外界の24時間より若干長いとされています。この若干長いサイクルを、実際の時間と合わるためのカギは、光。目から光が入ると網膜から明暗情報が視交叉上核にある体内時計に伝わり、朝の強い光は体内時計を早める方向に、夜の光は遅らせる方向に働きます。
体内時計と時計遺伝子
生き物はそれぞれ、細胞に存在する時計遺伝子が中心になって体内時計を調節しています。先ほど、光によって人間は24時間のサイクルを調整するといいました。
しかし、近年、脳内のSCN以外にも松果体や海馬、さらには肝臓、腎臓、小腸などの末梢臓器にも時計機構は存在し、脳内の時計とは違った時間を刻んでいることがわかったのです。脳ではないこうした末梢の時計遺伝子がサイクルを整えるカギとなっているのが、実は食事(朝食)。また、さらに朝でなくとも一定の時間に食事を与え続けると、与えなくても時間がくれば活動が活発になることも分かってきました。つまり、体内時計は目からの刺激・朝日を浴びることでリセットされ、消化・吸収・代謝にかかわる臓器は朝食をとることで時間を合わせています。子どものころの規則正しい生活習慣(生活リズム、食事リズム)が健康なからだ作りには大切なのです。
【最新の研究を解説】
最近の分子生物学研究によれば、体内時計細胞では幾つかの時計遺伝子が時計蛋白を合成し、分解することを約24時間周期で繰り返していて、この時計遺伝子活動から体内時計の概日リズム信号が生じているようだ、といわれています。
時間栄養学による効果的な食事のとり方 1日の食事は、朝食3、昼食3、夕食4の割合でとるのが効果的です。ヒトの消化管機の日周リズムに合わせて、いつ、何を食べるかを考えましょう。
朝食

どのタイミングで食べるといいの?

目覚めて身の回りが整ったら、できるだけ早い時間(起床後1~2時間以内)にとりましょう

朝食は身体をリセットし、生活リズムを整える働きをします(消化・吸収など末梢時計遺伝子の同調のためにも早い時間に食べましょう)。

毎朝習慣づけてとることも大切です

胃・腸の運動や消化酵素の分泌は、食事が入ってくる時間に合わせて活発になります。

朝食に食べると良いものは

メニューは、炭水化物、タンパク質を中心に、野菜、果物などもとりいれたものにします

朝食炭水化物や果物は昼間のエネルギーとして消費されるので、夜に比べると脂肪として蓄積されにくいのでしっかり食べましょう。糖質摂取による血糖上昇は、8~20時までは1日の平均値より低く、20時以降は高くなり、血糖が脂肪にかわりやすいのです。
身体を作るもととなるタンパク質は、時計遺伝子や筋肉を作り出すもとなので、しっかりとるようにします。また、体の調子を整える(代謝アップなど)ビタミン・ミネラル・食物繊維豊富な野菜は毎食とるようにします。

朝食には米飯食がおすすめ

米飯はパンに比べると、食後の血糖がゆるやかに上昇し、血糖が長く維持されます。血糖が持続されることで、脳にエネルギーがスムーズに運ばれ、脳に良い影響を与えるのではといわれています。そして何よりも、ご飯、主菜、副菜、汁物が揃ったバランスのとれた食事をとることが大切です。

昼食

どのタイミングで食べるといいの?

糖質、タンパク質、脂質をバランスよくとりましょう

昼食活動を支えるエネルギーとなる食べ物をしっかりとります。胃の中での滞在時間の長く、消化に時間がかかる脂肪や食物繊維は昼食に多くとるようにしましょう。

ビタミンB12を含む食品(レバーなど)は吸収されやすい時間です。昼間に食べることをおすすめします。
夕食

どのタイミングで食べるといいの?

腹八分目を守り、就寝時間の2~3時間前(21時まで)にすませましょう

夕食夕方は、消化管から分泌される唾液、胃酸、膵液、二糖類消化酵素などがピークを迎えますので、夜は栄養素の吸収が高くなります。脂肪の少ない良質のタンパク質を多くとれば、筋肉や骨、血液等がつくられ、修復機能も高まります。
また、夜遅い食事はエネルギーとして使用されず、脂肪として蓄積され肥満につながります。
時計遺伝子を構成する因子のひとつBMAL1(ビーマルワン)というタンパク質は、脂肪の合成を促進する働きがあり、22時~午前2時に増える傾向があることがわかっています。

夕食が21時以降になる場合は、17~18時ごろに軽い食事(分食)をとることをおすすめします

「分食」は、帰宅後の食べすぎを防ぎ、肥満防止に役立ちます。
メニューは、おにぎり、サンドイッチなど炭水化物を中心にします。簡単な市販の大豆や雑穀入りのバー、クラッカーなどでもいいでしょう。
夜遅くの食事は300~400kcalが望ましく、野菜や低脂肪のメニューがおすすめです。
(胃に負担をかけない雑炊、野菜スープ、湯豆腐、量を控えたうどんなど)

食べる順序で、栄養摂取が変わる!? 時間栄養学で「いつ食べる?」すなわち食べる時刻を問題にしてきましたが、食べる食品の順序や食べる速度が健康に与える影響も改めて考えられるようになってきました。
炭水化物(ご飯やパン)を食べる前に、野菜を食べましょう

炭水化物(ご飯やパン)を食べる前に、野菜を食べましょう糖分の少ない野菜の食物繊維を先にとると、血糖値の上昇が緩やかになって、インスリンの過剰分泌も抑えられ、血糖が体全体に行き渡り、エネルギーとして消費されます。
穀類(炭水化物)にも食物繊維は含まれていますが、糖質の多い炭水化物はブドウ糖にすぐに分解され、胃腸で消化・吸収されて血糖値が急上昇します。すると膵臓からインスリンが分泌され、脂肪やグリコーゲンに変えて蓄積されます。インスリンの急激な分泌は膵臓機能を弱まらせ、糖尿病の原因にもなります。

食べる速度はゆっくりと、時間をかけて食べましょう

食べる速度はゆっくりと、時間をかけて食べましょう一口30回よく噛んで食べると脳内の満腹中枢が刺激され、食べ過ぎを防ぐことは知られています。通常、血液中にブドウ糖が流れるまで(血糖値が上がるまで)には、20~30分かかるといわれていますから、20分以上かけての食事が望ましいのです。
急いで食べると血糖値が急上昇し、これに伴って膵臓からインスリンも過剰に分泌され、血糖値は急降下します。この繰り返しが糖尿病はじめ生活習慣病へと繋がるのです。

 

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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