病気にならない「予防栄養学」講座

第10回 女性の健康と栄養

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POINT1 女性の成長と共に、体内の女性ホルモンも変化する

POINT2 ホルモンバランスが崩れると、更年期障害に!?

POINT3 女性が健康に美しく年齢を重ねていくために…。

 

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女性の身体はとてもデリケートです。人生のステージとともに、女性ホルモンの影響を受け心身に様々な症状が現われます。

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・少女から女性へ
10~14歳ぐらいで卵巣が発達して女性ホルモンのひとつエストロゲン(卵胞ホルモン)が分泌し始め、胸が膨らむなど身体にも変化が起き初潮を迎えます。

・思春期
初潮が始まってから月経が安定する間までの期間で、17~18歳ぐらいまでの時期をいいます。卵巣の機能や子宮が未発達のため、月経不順や月経痛などが起こりやすくなります。

・成熟期
18~19歳から44~45歳くらいまでの時期を指します。前半は卵巣機能が成熟し、女性ホルモンの分泌も活発になり月経周期も安定していて、妊娠・出産に適した状態になります。ただし、月経前後(排卵~月経時)はホルモンのバランスが乱れ、心身の不調が起こります(月経前症候群)。また子宮頸がんは20歳から検診が必要です。
一方、成熟期の後半は、卵巣機能が少しずつ衰えてきて、乳がん、子宮がん、子宮筋腫などにもかかりやすくなります。

・更年期
卵巣機能が低下して、女性ホルモンが減少し始める閉経前後5年ぐらいの時期をいいます。年齢的には45~55歳ぐらいまでを指しますが、個人差があり、年齢・期間も異なります。ホルモンバランスの乱れから様々な症状・更年期障害が現われることもあります。

・熟年期
女性ホルモンが不足する50代半ば以降は、副腎から少量の女性ホルモンが分泌され、ホルモン不足を補います。

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ホルモンは、人の成長や身体の機能を正常に作用させるためになくてはならない物質です。
身体の組織や器官に伝えたい(渡したい)物質を血液やリンパ液に溶け込ませて運ぶという情報伝達の役割をしています。
血液やリンパ液の中に放たれる物質をホルモン、そのホルモンを分泌する器官を内分泌腺といいます。

ホルモンの種類は50種類以上が知られていますが、中でも女性ホルモンと呼ばれるものは下記の通りです。

 

ホルモン 分泌器官 主な働き
エストロゲン(卵胞ホルモン) 卵巣 排卵を促し、乳房や子宮を発達させる。
自律神経のバランスを整える。
骨密度を維持する。血中コレストロールを減少させる。
脳細胞を活性化させる。
プロゲステロン(黄体ホルモン) 卵巣 子宮内膜の厚さを維持して着床しやすい状態にする。
妊娠後の胎盤状態を安定させる。
基礎体温を上げる。
性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH) 脳(視床下部) 黄体形成ホルモンの分泌を促す
卵胞刺激ホルモン(FSH) 脳(下垂体) 卵胞の成長を促す。
黄体形成ホルモン(LH) 脳(下垂体) 排卵を引き起こさせる。黄体ホルモンの分泌を促す。
オキシトシン 脳(下垂体・前葉) 子宮を収縮させて分娩を促す。乳汁の分泌を助ける。
プロラクチン 脳(下垂体・後葉) 乳汁の生産を促す。

 

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ホルモンはわずかの量ですが、この量が多すぎたり、少なすぎたりするだけで体調を崩します。例えばエストロゲン(卵胞ホルモン)が多すぎると、乳がんや子宮がんの罹病リスクが高まったり、子宮筋腫や子宮内膜症が進行したりします。また、女性ホルモンの乱れから排卵が起きなくなるなど不妊につながることもあります。更年期の症状もこの一つです。

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女性ホルモンのひとつエストロゲン(卵胞ホルモン)の量が減少し、ホルモンのバランスが崩れると下記のような症状が現われます。
身体的・・・身体がだるい、疲れやすい、冷え、のぼせ、ほてり(ホットフラッシュ)、動悸・息切れ、めまい・耳鳴り、頭痛、肩こり、腰痛、関節痛、便秘・下痢、頻尿など
精神的・・・倦怠感、無気力、イライラ、うつ気分、恐怖感、不眠、不安感、集中力に欠けるなど
これらの症状は個人差が大きく、それほどキツクなく乗り切れる人もいれば、重い症状に悩まされ日常生活に支障をきたす場合もあります。後者は「更年期障害」と呼び、治療を必要とします。
また、エストロゲンは自立神経の状態を安定させる以外にも、骨密度を維持する、血液中のコレステロールを減らすなど様々な働きをしているので、減少することにより骨粗しょう症や生活習慣病のリスクが高まります。

 

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・更年期のことを正しく理解し、体調に合わせた無理のない生活をしましょう。
・起床、就寝時間を決めるなど1日の生活リズムを作りましょう。
・過度のストレスを溜めこまないよう、趣味や生きがいなどストレス解消方法を見つけましょう。
・疲れを感じたらお風呂でリラックスしましょう。
・睡眠時間を充分にとりましょう(睡眠不足はインスリン抵抗性を高め、1日6時間未満の睡眠は、2型糖尿病、心臓病、脳卒中のリスクが高まるというデーターが出ています)
・食事と運動で身体のバランスを取り戻しましょう。

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体内でしか作られないエストロゲンは食品から摂ることはできないのですが、大豆胚芽に含まれるポリフェノールの一種・大豆イソフラボンは、体内でエストロゲンと似た働きをします。
・大豆、黒豆、豆腐、納豆、きなこ、油揚げ、厚揚げ、大豆味噌など大豆製品を食事で摂るようにしましょう。
・女性ホルモンの分泌を促進するビタミンEを含む食品(カレイ、キングサーモン、魚卵、カボチャ、赤ピーマン、アーモンド、ごまなど)もおすすめです。

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エストロゲンが減少すると、カルシウムの吸収率が悪く骨粗しょう症のほか、LDL(悪玉)コレステロールの増加を抑制できず、脂質異常症、動脈硬化、高血圧になりやすくなります。

食事面では、骨の健康に欠かせない栄養素を含んだ食事をこころがけましょう。

・骨の健康に欠かせない栄養素であるカルシウムの代謝や吸収には、ビタミンD、ビタミンKの助けが必要です。
カルシウムを多く含む食品・・・牛乳、チーズ、ヨーグルト、スキムミルクなど乳製品はじめ、ひじき、ワカメなどの海藻類、ちりめんじゃこ、丸干しいわし、サクラエビ、豆腐・豆製品、小松菜、切干大根など
ビタミンDを多く含む食品・・・あんこうの肝、サケ、ウナギ、サンマ、カレイ、サバ、マグロ、鶏卵、白きくらげなど
ビタミンKを多く含む食品・・・納豆、小松菜・ほうれん草・チンゲンサイなど青菜類
(青菜には骨粗しょう症予防に有効な葉酸も豊富に含まれています)

LDLコレステロールを下げ、HDL(善玉)コレステロールを増やす食事

・α-リノレン酸(体内に入ると代謝されてDHAやEPAに変換されます)やDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)などn-3(オメガ)系列脂肪酸が、血液中のLDLコレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やします(詳しくは第3回脂肪のところを参照してください)。
α-リノレン酸を多く含む食品・・・菜種油、大豆油、豆腐・豆製品、アユなど
DHAを多く含む食品・・・ウナギ、イワシ、マグロ、カンパチ、スジコ、スルメイカなど
EPAを多く含む食品・・・スジコ、イワシ、マコガレイ、タラ、ニシン、サバ、ブリなど

動脈硬化、高血圧を予防する働きのある食事

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・脂質の多い肉など動物性脂肪を控え、DHA・EPAを多く含む青魚などを食べましょう。
・たんぱく質(血管を丈夫にする)、カリウム(高血圧の原因となるナトリウムを排泄する)、ナットウキナーゼ(納豆に含まれる酵素が血栓を溶かす)、大豆サポニン(血栓を作るもととなる過酸化脂質の生成を抑える)、レシチン(血管に付着したLDLコレステロールを溶かす)などの栄養素を含んだ食事を摂るよう心がけましょう。
ほかにも、食物繊維(野菜や海藻類)、ルチン(蕎麦などに含まれる)なども血圧を下げる効果があります。
レシチンを多く含む食品・・・ウナギ、レバー、大豆・豆製品、ごま油など

 

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女性も卵巣や副腎で男性ホルモンの一種であるテストステロンを分泌しています。
男性に比べると1/10~1/20ぐらいですが、このホルモンが男性的な思考や、やる気・活力をアップすると言われています。
そして、テストステロンの分泌量を増やすには、適度な運動やトレーニングが効果的。
食事は多すぎず、少なすぎず、腹八分目で楽しんで食べましょう。

 

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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