病気にならない「予防栄養学」講座

第13回 高齢者の食事

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POINT1 高齢者の皆さん、最近楽しく食事ができていますか?

POINT2 身体の変化に合わせた食事と必要な栄養って?

POINT3 食欲低下の様々な原因と対処法を知ろう!

 

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年齢とともに食べ物の嗜好や食べる量は変わってきます。食欲はあるし、まだまだ元気だ、と思っている人も、体内の水分、筋肉、骨密度、臓器の能力など身体的機能は少しずつ変化しているのです。
一般的には、加齢にともない運動量も減少するので、同じ体重でも脂肪の割合は高くなってきます。筋肉に較べると脂肪組織のエネルギー消費量は少なく、食事から摂るエネルギー量も少なくてよいことになり、若いときに較べて食が細くなる一つの理由です。
しかし、ここで気をつけたいのは、加齢による嗜好の変化をそのまま見過ごすと、栄養不足に陥る危険があることです。低栄養は体力や免疫力が低下するだけでなく、物忘れや認知症にも関係があるとも言われ、各種の病気を引き起こす原因にもなるのです。

 

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視覚や聴覚に較べると、味覚が低下していることに気付く人は少ないのですが、一般的には加齢に伴い変化しています。
甘味・塩味・酸味・苦味・旨味のうち、特に塩味に対しての感度が鈍くなる傾向があるといわれています。
味を感じるのは舌の表面にある味蕾で、味蕾の細胞は4週間のサイクルで生まれ変わります。その際には多くの亜鉛(たんぱく質の分解、合成に必須のミネラル)が必要で、亜鉛不足が味覚障害を引き起こす主な原因になっています 。

★亜鉛不足は常用している薬による場合(例えば、降圧剤、利尿剤、抗鬱剤、抗癌剤など)もありますので、薬を処方されている人はお医者さんに相談しましょう。

おいしさは、味覚だけでなく、見た目や匂い、歯ごたえ、喉越しなどいろいろな感覚器を通して感じられるもので、口から食べ物を摂ることでわかるのです。年を取ると、エネルギー消費量は少なくなりますが、たんぱく質やカルシウム・鉄などのミネラル、ビタミン類などの必要量はそれほど変わらないので、栄養バランスのとれた、食欲のわく料理を作る工夫が大切です。

 

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(1)材料を選ぶ・・・繊維があっても加熱すれば柔らかくなる食材(かぶら、なす、南瓜、ほうれん草、冬瓜、トマトなど)や豆腐、湯葉、はんぺん、カツオ・マグロなどの造り、アボカド、バナナなど噛み切りやすい食材を使う。パンや餅は柔らかいが噛み切れないので注意しよう。

(2)切り方を変える・・・繊維を切る、隠し包丁を入れる、刻む(加熱との関係で大きく切る方が食べやすい場合もある)、すり潰す、すりおろす、叩き潰すなど。

(3)加熱法や調理方法を工夫する・・・時間をかけて茹でる、煮る、蒸す。圧力鍋を用いたりや真空調理で素材を柔らかくした料理。

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(1)とろみをつける・・・葛やかたくり粉、コンスターチ、寒天、ゼラチン、アガーなどを用いる。

(2)柔らかく喉越しの良い調理形態にする・・・粥状、ペースト状、スープ状など。

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(1)茹でる(しゃぶしゃぶ)、蒸す、焼くなど下処理してから調理する肉料理。

(2)魚介中心の鍋料理

(3)寿司:焼ヒレ肉の握りずし、ご飯に具材(うなぎやあなごなど)を混ぜ合わせた関西風ちらし寿司。

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(1)乳酸菌を含むヨーグルトやチーズ、味噌や納豆など発酵食品を毎日食べる。

(2)食物繊維を摂る・・・海藻類、野菜類、きのこ、果物など。

(3)芋やバナナ、南瓜など腸内で発酵する食品を摂るとガスが出て、腸の働きが活発になる。

(4)水分を多く摂る(胃が空っぽ状態の朝一番に水を飲むと腸が刺激され蠕動運動がおこる)

 

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身体の1日の活動リズムを作る中心となる時計遺伝子は、約25時間周期の概日リズム(サーカディアンリズム)を自律的に作っていますが、24時間で昼夜が代わる地球上では、毎朝光を浴びて、時計を合わせ24時間の日周リズムに保っていることがわかってきました。
一方、「朝ごはん」を規則正しいリズムで繰り返し摂り続けると、これが刺激になって時計を調節していることもわかっています。加齢で主時計(光の刺激で体内リズムを刻んでいる)の働きが鈍くなってきても、給餌刺激が体内リズムを作ることができるのです。しかし、朝ご飯の時間が極端に遅くなると、体内リズムが上手く働かないこともわかっています。食事の量が減ってきても、早寝早起きで規則正しい食生活を続けることが健康の秘訣です。

1.魚介、肉、大豆製品、卵、乳製品など良質たんぱく質が不足しないように。

2.おかずを優先して食べる。

3.ゆっくりよく噛んで食べる。

4.食べやすいよう調理の工夫を。

5.新鮮な旬の食材で、彩り・香りなど五感に働きかける食欲がわく料理・演出を。

6.適度な運動でお腹を減らし、規則正しい食生活を。

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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