病気にならない「予防栄養学」講座

第16回 子供が美味しく栄養を摂るために

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POINT1 食べたものは、そのままでは私たちの身体にならない!

POINT2 毎日300gものタンパク質が入れ替わっている!?

POINT3 体重を1kg減らすのに必要なカロリーは7000kcal

 

梅雨のこの時期は、温度・湿度ともに高くなり、子どもの食欲にも影響が出てきます。また、衛生面でも細菌が増殖しやすく、食中毒の心配などから、普段より調理に気遣いが必要となってきます。人がいろいろな食品を美味しいと思い、好んで食べられるのは自然なようで、実は繰り返し学習した効果なのです。生まれたての赤ちゃんは、本能で哺乳反射により母乳を飲みますが、その後は機能発達に応じて周りのサポートを受けながら、育てられていきます(詳しくは、第9回「子どもの栄養」参照)。

 

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本来食べものは、自然の恵みをいただくものですから、季節や地域によっても異なり、同じ食材であっても調理法や味付けはその時々で変わります。このようにして、いろいろな食べものとの出会いを繰り返すことで、味や食感などが記憶され、嗜好の幅も広がり、何でも食べられるようになっていくのです。しかし、美味しく食べるための嗜好の発達はそればかりでは養われません。
「発育や発達に応じた離乳食を作り、いろいろな食品も食べてくれるようになったのに、ある時期から急に食べなくなった…」の声もよく聞かれます。
1歳までの成長速度は最も大きく、1歳を過ぎるとやや緩やかになります。従って発育に必要な1日のエネルギーも以前ほど多くを必要としないので、生理的に食欲が細くなることもあります。また、2歳前後になると自我が芽生え、食べたいもの、好きなものが増え、食べる量も自分で調節するようになります。この時期は、子どもが自主的に食べたいと思う前に、無理に食事を与えると、かえって食欲を無くさせます。食欲は食べ物に対して好奇心や探究心などによっても起こるもので、心の発達や脳の発達なども影響します。

 

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偏食とは、ご飯しか食べない、野菜は全く食べられないなど、極端に偏った食事をいいます。健康な身体をつくるために、いろいろな食品を食べ、栄養バランスのとれた食事を摂ることは大切ですが、子どもの場合は初めて口にするもの、固いもの(肉類)、臭いの強いもの(野菜や納豆など)、苦いもの(野菜)、辛いものなどは、味覚の発達が未熟なため、まだ食べられるようになっていない場合もあります。時期をみて、少しずつ口にする機会を増やし、食べ慣れさせることが好き嫌いをつくらせないコツです。

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口の中(口腔内)はあの細い髪の毛1本でも気づくほど、敏感なセンサーを持った器官で、咀嚼、味覚、嚥下(飲み込む)の働きをします。口腔粘膜が刺激され、これが脳に伝わり活性化することで、唾液などが出るのです。この刺激は子どもにとって(お年寄りにも)特に大切なようです。食べ物の変化による刺激で、脳の興奮が高まり、消化液の分泌にも影響を及ぼすわけですから、毎日画一化された加工食品を食べていると、美味しさによる新しい刺激や変化は得られ難くなります。手作り料理だからこそ、味付けや内容も毎日変わり、好きな食べもの苦手な食べものがわかるようになるのです。

 

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楽しい雰囲気の中での食事は、大人であっても食欲を増すものです。家族や友達に囲まれて「美味しい」を共感することで、味覚も形成されます。味覚は主に舌の味細胞が集まった味蕾(みらい)で受け止め、味神経を介して脳で認識されるのですが、味の評価はいろいろな要素が加わります。脳の発達途中の子どもには、好み(嗜好)、食欲に良い影響をもたらす満たされた気分にさせることが大切です。食事も大人や友達の行動を真似てみる(好奇心)から始まります。「おいしいね」「上手にたべられたね」など声掛けや褒め言葉は、子どもにとって知らず知らずのうちに心の糧となり、次のステップへと繋がるのです。

 

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偏食と好き嫌いの違いは前にも述べましたが、好きな食べもの、苦手な食品は誰にでもあるものです。
最近の小中学生を対象とした嗜好調査では、

□小学生の好きな食べもの・嫌いな食べもの(選択による回答)

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小学生の好きな食べもののトップは、ここ数年「おすし」で続いて「ラーメン」、「カレーライス」、「焼き肉」、「ハンバーグ」(2000年はおすし、ラーメン、ステーキ、焼き肉、カレーライスの順)

嫌いな食べものは、「焼き魚」「サラダ」「さしみ」「そば」「目玉焼き」(2000年は「焼き魚」「サラダ」「さしみ」「目玉焼き」「そば」の順)で、「おすし」が好きなのに、「焼き魚」「さしみ」が嫌いなのは、興味深い結果です。同じ魚料理でも調理法で好き嫌いが分かれるようですが、一方では、回る寿司に代表されるように、外食で食するメニューが好まれる傾向にあることも見逃せません。

□小・中学生の嫌いな料理(記入による自由回答)

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嫌いな料理は、小学生・中学生の男女ともに「レバー料理」が挙げられています。続いての「うなぎ」は大人からみれば意外。両方に共通なのは、独特の歯触り、食感。香りも生臭い、泥臭いなどが苦手の原因となるのかもしれません。ただし、小学生では嫌いなサラダは、中学生になると嫌いの順位が下がっています。このことから、どの食品も成長とともに食べられるのでは、という期待感もあります。

 

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・食事内容のバランスを考えましょう。主食、主菜(肉・魚・卵・大豆類)、副菜(野菜・きのこ・海藻・芋類)をそれぞれ器に盛りつけて、必要な量や内容を示します。子ども自身が食べられる量や料理をわかってきたら、大皿から選んで取らせてみると、自分から進んで食べるようになります。

・野菜や魚など食材の元の形を子どもに見せると、関心が深まり食べてみようという気持ちが起こる場合もあります。また、食材に触れさせるたり、野菜の筋取りなど簡単な料理のお手伝いから始め、次第に調理への参加と、年齢・発達に合わせて料理の楽しさを体験させてあげましょう。食べ物が身体をつくっていることや、わかりやすい栄養のお話などをさりげなく聞かせるチャンスでもあるのです。

・野菜や果物、魚介類は、季節で変わること(旬)を目と舌で経験させましょう!
一緒に買い物にでかけて目で確かめさせ、敏感な舌で味の違いが記憶できるよういろいろな料理を供します。

 

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嫌いな野菜や魚、レバーを食べさせるには、まずは切り方から。最初はすり潰し、次にみじん切り、そしてせん切り、角切りと少しずつ形を大きくしていきます。
野菜ペーストも素材の美味しさが感じられるよう、味付のほかとろみなどで食感を変えてみる。いろいろな味ペーストをスプンにのせ一皿盛りにしたり、主菜のソースに用いるのもおすすめです。みじん切りはハンバーグやつくね、コロッケなどに入れると気づかずに食べてくれます。食感では、ナスやシイタケなどぐにゅとした感じのものを嫌う子が多いので、せん切りにして、シャキシャキした感触に仕上げてみるのもいいでしょう。また、大きくても柔らかく煮たり茹でたりしたものは子どもも得意で、型抜きしたもの、手で持って食べられるものを喜びます。

 

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・材料(2人分)
ピーマン2~3個(100g) すりごま大さじ1 さとう・しょうゆ各小さじ1

・作り方

(1)ピーマンはタテ半分に切って、ヘタと種を取り除き、繊維を切るようヨコにして幅3mmの細切りにする。

(2)熱湯の中で約3分色よく茹でて、ざるにあげ、水で冷まして水気を取っておく。

(3)ボールにすりごまとさとう、しょうゆを入れて混ぜ合わせ、(2)を加えて和える。

☆ピーマンは緑のほか、赤ピーマンや黄色・オレンジ色のパプリカなどを合わすと見た目も鮮やかで、甘みも増します。細切りのロースハムや鶏ささみの細切りなどを加えるのもいいでしょう。

 

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・材料(2人分)
イワシ2尾 塩少々 小麦粉小さじ2 卵1/4個 パン粉大さじ2 みじん切りパセリ小さじ1 粉チーズ大さじ1 オリーブ油小さじ2 油適宜 ケチャップ(トマトソース)小さじ2

・作り方

(1)イワシは頭と内臓を取り除いて、腹から骨に添って手開きし、中骨を取り、よく洗って軽く塩をふる。

(2)(1)のイワシの水気を拭いて、表面に小麦粉をはたき、溶き卵をくぐらせて、(2)の衣をしっかり表面につけ、ひたひたの油でやや時間をかけて焼く。
(クッキングシートを敷いた上に魚を並べ、オーブントースターで焼いてもよい)

 

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ピーマンは唐辛子と同じ仲間で夏が旬。ビタミンCが豊富で、加熱してもCが壊れにくいのが特徴です。夏に向けての肌対策や疲労回復のためには多く摂りたい食品です。また、カロテンやビタミンEも多く、ビタミンCの吸収を助けるビタミンP(毛細血管を丈夫にする)も含まれています。赤ピーマンは青ピーマンが熟したもので、クセがなく、甘くて、カロテンは青ピーマンの3倍、ビタミンEは8倍を含んでいます。ちなみにピーマンの青臭さのもとであるピラジンは、血が固まるのを防ぎ、血栓の予防に役立ちます。

・一般にイワシと呼ばれているのはマイワシで、頭がよくなるDHA、血液をサラサラにするEPAや、カルシウム、ビタミンD、E、B2を含む優れた栄養食品として知られていますが、近年新た研究が進められ、注目されているのがDPAを含んでいることです。DHAやEPAと同じn-3系脂肪酸で、コレステロール低下作用はEPAの50~100倍ともいわれています。また、「血管新生の抑制効果」も確認され、ガンの治療や糖尿病性網膜症など種々の疾患予防に役立つと期待されています。

 

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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