病気にならない「予防栄養学」講座

第7回 賢い外食の選び方

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POINT1 外食を利用する上での5つのリスクとは?

POINT2 調理の仕方で、栄養価は大きく変わる!

POINT3 賢い外食の選び方を徹底解明!

 

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最近の職場では手作りのお弁当を持って行くのがちょっとしたブーム。しかも草食男子といわれる若い男性は自分で手作りしている、という話も聞かれますが、実際には、平成22年国民健康・栄養調査によれば、外食・給食の利用割合は昼食が多く31%、調理済み食品の利用(コンビニ弁当、ファストフードなど)も昼が多く7.1%だそうです。
それだけに栄養バランスなどを配慮した企業内レストランが話題を呼び、一般の人が利用できるレストランもオープンしました。
外食は、好みのものが食べられる、プロの味が味わえる、食に関しての経験が積めるなどの利点はありますが、ファミリーレストランはじめ居酒屋、料理屋などでも多少のリスクはあります。

 

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選ぶことができる食事であっても、多くの人が気にかかるのは、

(1)カロリーの高いものが多い
(2)味が濃い(塩分、糖分の問題)
(3)サクッとして美味しいが使っている油脂はなに?

など。もう少し深く考えると、

(4)食材の確認ができない(産地や鮮度、添加物など)
(5)調理による栄養の損失―口当たりをよくするため長く水に浸けている(ビタミン、ミネラルなど水溶成分の流出)
(6)食中毒防止のために使われる殺菌料、漂白剤について

など。また、生活習慣病の人が外食する場合は、前項に加え

(7)材料や量がわかりにくい
(8)主食の量が多い
(9)油脂を使ったものが多い
(10)野菜が少ない
(11)たんぱく質が多すぎたり、不足がちだったりする

たまになら、楽しみの要素があって良い外食ですが、好きな料理を好きなだけ注文できることから、栄養が偏りがちになります。

 

問題を整理してみると、

(1)カロリーが高い ((8)主食の量が多い (9)油脂を使った料理が多い (2)糖分が多い)

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丼物、麺類、ラーメン、パスタ、カレーライス、ピラフ、炒飯など主食中心の一品料理は外食のメニューの定番。天ぷら、フライ、カツなど揚げ物のほか、中華料理の炒め物や焼き物にも油脂は多く用いられています。洋食の場合もバターや生クリームなど脂肪分の多い料理が多く、また、マヨネーズやドレッシングなどにも油が使われています。

一方、和食はみりんや砂糖など糖分を用いることが多く、一般的に鮮度の落ちたものや、日持ちさせたい佃煮などは砂糖、醤油で濃い味付けをします。中華や韓国料理などでも同じことが言え、砂糖のほか水飴やケチャップなど糖分の多い調味料が使われています。

(2)塩分の摂りすぎ

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ラ-メンや麺類のスープなどには多くの塩分(塩分相当量のナトリウム含む)が用いられています。また、漬物や加工食品は保存を高めるために塩が使われています

(3)油脂の量・質について

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食用油脂の種類によって健康を維持したり、阻害したりします。植物性の油でも飽和脂肪酸の多いヤシ油、パーム油などは常温でも固体で、ショートニングやマーガリンなどの原料となります。これにはトランス脂肪酸が多く含まれていて、摂り過ぎるとLDLコレステロールを増加させるなど様々な病気を誘発します。
ファストフード店などのカリッとした揚げ物にはショートニングが使われています。
また、外食に使われている油は、何度も使っていることが多く、酸化して有害な過酸化脂質を発生することとなります。

(4)食材の品質について

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材料の産地は出来上がり状態なのでチェックできませんが、テイクアウト食品は、添加物などが表示されています。次回10月「添加物、食品表示」でまた説明します。また、野菜や果物の残留農薬については、輸入農産物も厳しいチェックがなされていて、基準を超えた野菜・果物は出回っていないはずです。残留農薬は水で洗うとほとんど除去できるか、残っていても微量と考えられます。魚介類・肉類も放射能汚染などに敏感になっていますが、すべて国の基準をクリアした食品を食材として使っているはずです。

(5)野菜などの下処理(調理法と食品添加物)

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チェーン店でも料理人がいて、しっかりした料理を提供してくれるのですが、殺菌剤や漂白剤などを使ったカット野菜を利用しているところも多いようです。次亜塩素酸Naも同じで、食品添加物として認められていて、まな板・調理台の消毒にも使われていますが、魚介類などに臭いが残っていたり、敏感な人は味の変化にも気づくこともあります。→詳しくは10月「添加物」で説明します。ほかにも見た目を重視するため長く水に晒すなどで、ビタミン、ミネラルなど水溶成分が溶け出してしまうことも考えられます。

 

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食材となる食品は、季節、産地、貯蔵や管理の状態で栄養成分は異なってきます。『第6回ビタミン』のところでもご紹介しましたが、野菜のビタミンは栽培(ハウスもの、露地もの)による違い、購入後の保存状態による変化、そして調理、加工による栄養の減少などが考えられます。
調理、加工した場合の一例として、ビタミンA…20~30%減少(主に加熱による)、ビタミンB1…30~50%減少(水洗い、煮汁に溶け出す)、ビタミンB2…25~30%、ビタミンC…50~60%減少(水に溶け出す、加熱に弱い)で、摂取している栄養量は食品栄養量の約1/2~2/3というデーターもあります。

また、損失に注意しながら調理した場合の例をみると、じゃが芋を皮ごと蒸した場合ビタミンB1,B2は96%、ビタミンCで74%が残存し、レタスは1枚を生で水にさらしてもビタミンCは100%残存、きゅうりの糠漬けでは24時間経てばビタミンCは半減するが、逆にB1は10倍以上増えていることもわかっています。
ほかにも揚げ油の吸収率などを知っておくと、自分で料理する場合はもちろん、外食でのカロリーを考える上で重要なポイントとなるでしょう。

ちなみに、全般に素揚げは低く、鶏肉から揚げ1%、揚げ出し豆腐6%、かぼちゃ7%、油をよく吸収する茄子で14%です。天ぷらやフライのように衣が付くと、ほとんどのものが15~20%となり、かき揚げは40%以上の吸収率で、素材(エビ+三つ葉…13kcal)に衣と油が加わり171kcalとなるのです。

 

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人の身体には生まれつき「体内時計」が備わっていて、睡眠・食事・活動などのリズムをコントロールしていることが知られています。生体リズムはもともと25時間周期ですが、体内時計の働きで、1日24時間周期に調整されているのです。その調整に強い影響を与えるのが、夜明け、日没などの光の変化です。まずは朝陽を浴びて、休息している身体を活動モードにスイッチを切り替え、次に朝食を食べて体温を上げ、1日の活動に供えるのです。
朝・昼・夕の3回の食事にはそれぞれ役割があり、午前中の活動のためのエネルギー源を補給する朝食、そして夕食にはその日に消費された栄養素や睡眠中に進行する骨や筋肉づくりに必要なたんぱく質やミネラルを補給する、といった具合です。

調理、加工した場合の一例として、ビタミンA…20~30%減少(主に加熱による)、ビタミンB1…30~50%減少(水洗い、煮汁に溶け出す)、ビタミンB2…25~30%、ビタミンC…50~60%減少(水に溶け出す、加熱に弱い)で、摂取している栄養量は食品栄養量の約1/2~2/3というデーターもあります。

3回の食事がそれぞれ大切であることがわかったところで、1回の食事を外食で摂る場合はどのようにすればいいのでしょう。
1日に必要な栄養を3回の食事で摂るには、朝:昼:夕を1:1:1とし、栄養バランスを考え、主食、主菜、副菜、汁物を組み合わせた「一汁二菜の定食」が望ましいのですが、毎日の食事となると難しい点も多いと思われます。

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例)女性30歳 身長158? 標準体重54.9?
基礎代謝量 54.9×21.7=1191kcal
1日に必要なエネルギー量 1191×1.75=2084kcal
1回の食事で695kcalを摂るのが理想となります。

 

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パン、おにぎりなど炭水化物は、脳のエネルギー源となるブドウ糖を補給するために必要ですが、牛乳、ヨーグルト、果物、野菜サラダなどを一緒に摂ることをおすすめします。パンは、菓子パンよりサンドイッチを、全粒パン・胚芽パンを選べば食物繊維やビタミン・ミネラルも摂れます。ポテトや卵などマヨネーズやバターを使うものは避け、「ハム・チーズの野菜サンド」などを選べば、300kcal。ハムにはビタミンB1、チーズにはビタミンB2、カルシウムなども摂れます。飲み物を牛乳200?141kcalにすればカルシウムやビタミンB2も摂れますし、プラス野菜ジュースでビタミン類を補うのもいいでしょう。この場合エネルギーは約500kcalです。

おにぎりは1個約100g168kcal。おかずは魚・肉・卵・大豆製品などたんぱく源が入って、薄味のものを選びましょう。玄米・胚芽米・雑穀入りのご飯を選べば、ビタミンB1を摂ることができ、エネルギー代謝もスムーズ。また、「ほうれん草のごま和え」などを加えると、ビタミンA,C,E,鉄分なども摂れます。無理なら緑黄色野菜ジュースを飲みましょう

 

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ハンバーガー、カレー、ドーナツ、フライドチキン、牛丼屋などがお馴染みですが、朝食を用意しているところも増えました。
コーヒーチェーン系は、トーストを中心にハムエッグ、ミニサラダなどが付きますが、牛乳・ヨーグルトなど飲み物から期待するカルシウムやビタミンB2などは摂れません。バーガーショップの朝メニューは、200kcal~350kcal前後のものが多く、生野菜もわずかですが使われています。これにスープなどをプラスすると栄養バランスもよくなります。また、栄養量の表示があるところも多く、インターネットなどで確認もできますから、たまにチェックしてみるのもいいですね。

牛丼系には「納豆朝食」「焼き魚朝食」など日本型の食事があり、500kcal~600kcal前後のエネルギーです。納豆、海苔、焼き魚、卵などたんぱく質のほか、ビタミン、ミネラルなど機能成分も多く、バランスの良い食事といえます。ただし、野菜は不足しています。

 

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外食の朝食で1日の栄養の1/3を摂ることはなかなか難しいようです。その分をカバーする昼食は、エネルギー(500kcal台に)・脂肪を抑え、ビタミン・ミネラル・繊維質の豊富な野菜・海草類がしっかり摂れるものを、と内容もますます重要になってきます。

 

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1.主菜、副菜、汁物などがセットになった定食のある例

焼き魚定食662kcal 天ぷら定食739kcal トンカツ定食862kcal です。
定食の<ご飯1杯160g、味噌汁、漬物>は、エネルギーが337kcal、食塩相当量3gです。
ご飯は茶碗に軽く1杯160gが267kcalです。健康を考えるなら成人男性でもこれぐらいが望ましいでしょう

  • 焼き魚でも背の青い魚のエネルギーは、鯖塩焼きなら271kcal、さんまの塩焼き1尾299kcalと少し高め。しかし、EPA・DHA などの脂肪酸を豊富に含み、脂質代謝異常や高血圧などの予防にも役立ちます。添えられるおろし大根は、ビタミンCを含みますが、これだけでは不足気味なので、ほうれん草のごま和えなどで、ビタミンA・C・Eを摂るようにしましょう。醤油は控え、すだちやレモンが添えられていたらこちらを使いましょう。
  • 天ぷらは、エビ、イカ、魚、野菜など食材は低エネルギーで、エビ、イカ、ホタテなど血圧・脂質代謝異常改善に効果のあるタウリンやたんぱく質も摂れますが、衣が油を吸収しているので、エネルギーは高くなります。ちなみにかき揚げの油吸収率は42%です。かぼちゃやピーマン、唐辛子などβ-カロテンを多く含む野菜は油により吸収率がよくなります。カロリー制限をしている人は、衣をはずして食べるといいでしょう。塩や天つゆは塩分の摂りすぎに繋がりますので、控えめに。
  • トンカツ(ロース肉)は単品で600kcal前後です。お店によっては定食なら1,000kcalを超えます。豚肉はビタミンB1を多く含み、糖質の代謝を助け、疲労回復に役立ちます。エネルギーを控えたい場合は、ヒレ肉を選べば150~160kcalほど低くなります。

 

 

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2.定食以外の和食

  • 麺類
    ざるうどん330kcal きつねうどん413kcal 天ぷらそば584kcal 牛肉カレーうどん614kcal ラーメン435kcal
    など、具材の多い天ぷらなど除けば、エネルギーは比較的低めです。麺だけでなく、野菜やたんぱく質など具材を多く使ったものがおすすめです。トッピングが可能なら、卵、山菜などシンプルな具を注文して、サラダなどを合わせましょう。汁麺は食塩相当量が5g前後と多いので汁を飲み干さない、またはざるうどんなどつけ麺にするのも一つの方法です。食後には野菜ジュースでビタミンや食物繊維の補給し、たんぱく質やカルシウム不足を感じたら、牛乳や乳製品を摂るのもよい方法です。
  • 丼物
    親子丼600~750kcal 牛丼660kcalカツ丼800~1000kcal ウナ重800~900kcal。
    このうちご飯の量だけをみると230~300gで、390~500kcalとなります。エネルギーを控えたい場合はご飯を残すなどで量を調節するとよいでしょう。丼物も野菜は不足がちですが、丼に含まれる塩分(4g前後)とのバランスを考えると、カリウムを含む野菜をできるだけ多く摂る必要があります。できれば塩分控えめの漬物や野菜サラダ、お浸しなどを一緒に摂るようにしましょう。
  • すし類
    1貫のすし飯の量は20g余り40kcal足らずで、ネタと合わせても40~50kcalのものが大半。とろやサーモンなど脂の多いものを控え目にして、食べる個数を決めればカロリーオーバーにはなりませんが、塩分には注意が必要です。魚介類から良質のたんぱく質、タウリン、EPA・DHAは摂れますが、ここでも野菜不足がおこりますので、野菜入りの味噌汁やサラダなどを一緒に食するように心がけましょう。

 

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フランス料理、イタリア料理など本格レストランで出される料理は、野菜も豊富に使われていますが、オーダーによっては栄養量が多くなりがちです。食べた後2~3日は食事量を控え、こまめに身体を動かし消費エネルギーを増やしましょう。
日常の外食で簡単に食べられる

  • カレーライスはご飯の量(150~300g)と、主材料の違い(野菜・豆腐・チキンなどメニューの選択)で、単品のエネルギーは400~700kcalと大きな開きがあります。野菜系のカレーでも不足するビタミン・ミネラルもありますので、野菜サラダは必ず注文したいものです。
  • ハンバーグ、フライ、シチュー、スパゲティ、オムライスなど洋食メニューは、おしなべて高カロリーのように思いますが、脂質の少ない肉(ヒレ、赤身、皮なしチキンむね肉など)や魚介類を選ぶ、揚げものを避ける、ソースやドレッシングはできるだけ控えめに(ドレッシング大さじ1でも11~80kcalと差があります)、パスタやパンの量を減らす、スープはクリーム系より野菜たっぷりのコンソメを、と少し工夫すれば脂肪やエネルギーを下げることができます。

数は少ないですが、和洋を問わず、野菜中心のレストランも増えています。たまにはこのようなお店を利用して、身体をリセットするのもいいでしょう。

 

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仕事帰りの外食は、居酒屋、焼き鶏、焼肉店、鍋料理などお酒を伴うところが多いはずです。まずはそのお酒のカロリーを見てみましょう。

代表的なお酒とカロリー ビール中瓶(500ml)…200kcal
日本酒1合(180ml)…187kcal
焼酎72ml( 水割り180ml)…105kcal
赤ワイン100ml…73kcal

  • メイン料理は脂肪が少なく、良質たんぱくが摂れる、低エネルギーのものを選びましょう。刺身、酢の物、焼魚、煮魚、冷奴、焼き鶏(ささみ・レバー・砂肝)などがおすすめです。
  • 青菜・ブロッコリー・パプリカ・トマト・かぼちゃなど緑黄色野菜を中心にした煮物、和え物、焼き野菜、蒸し物などで、朝食・昼食で不足しがちなビタミン・ミネラル・食物繊維を摂りましょう。
  • 身体の機能調節や維持に欠くことができない微量栄養素ミネラルやビタミンDを含む海藻類やキノコ類を使った料理も摂りたいものです。
  • 旬の野菜は淡色・緑黄色野菜ともに新鮮なものをたっぷりと。
    キャベツ、菜の花、蕗、エンドウ、タケノコ、ゴボウ、ナス、キュウリ、オクラ、枝豆、蕪、大根、ニンジン、レンコンなど生食はもちろん、茹でる、蒸す、焼く、煮るなど加熱で嵩を減らせば、多くの量を食べることができ、不足しがちな野菜からのビタミンや繊維質が摂れ、満腹度も高くなります。
  • 酒が進むと食欲も増し、締めに麺類やご飯が食べたくなりますが、エネルギーが高くなるので控えましょう。
  • 塩辛、イクラ、干物など珍味は塩分が多いので、これも量を加減しましょう。

 

質の良い睡眠を得るためには、食事量を朝2:昼3:夜1にすると良いともいわれています。夕食が遅くなる場合は、19時前後に軽い目の食事(サンドイッチ、バナナ、クッキー、牛乳など)を補うと、夕食での食べ過ぎを抑えることができます。

 

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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