ネギを首に巻くと風邪が治るは本当?風邪に負けない体づくりのために知っておきたいこと
冬は空気が乾燥しているので、喉のトラブルを起こしやすくなる季節です。
「風邪をひいたかな…?」
と思ったときは、早めに対策することが大切です。
風邪をひいた時の民間療法として「ネギを首に巻く」という話を聞いたことはありませんか?
昔から「おばあちゃんの知恵袋」としても知られてきたこの「ネギを首に巻く」方法、これは本当に効果があるのでしょうか?
また、風邪をひかないための体づくりについてお伝えします。
なぜ「ネギを首に巻くと風邪が治る」と言われるのか
風邪をひいたとき、ネギを首に巻くという方法を、民間療法として実践している人もいるようです。
その理由は、「ネギに含まれるアリシンという成分に殺菌作用がある」と言われているからです。
アリシンは、ネギ独特のツンとした臭いの元。
疲労回復や血流をよくする効果も期待できるので、風邪をひいたとき症状が緩和されることが想像できますね。
実はこの「ネギを首に巻くと風邪が治る」については、「治る」「治らない」の両方の意見があり、どちらが正しいのか言いきれないところがあります。
はっきりとお医者さんが「間違いです!」と言い切っているところもありますし、漢方の観点からは「○」と言われているところもあります。
【参考】
http://www.kawasaki.kanagawa.med.or.jp/qa/256-2013-vol18toshi
https://www.38-8931.com/pharma-labo/column/study/answers.php
風邪をひいたらネギを首に巻く?巻かない?
風邪をひいたとき「ネギを首に巻く」か「巻かない」か。
どちらを信じるかはそれぞれの判断になりますが、医学的には首にネギを巻いてもアリシンは皮膚から吸収されるものではないので、のどの炎症が改善することはないそうです。
しかし、アリシンは揮発成分なので、首に巻くことで口や鼻からのどに入り呼吸が楽になったり、鼻づまりが軽くなったと感じる人もいます。
ただ、鼻やのどから吸収されるアリシンはとても微量なので、効果があるとは言えないでしょう。
首に巻く時のポイントとしては、アリシンはネギの硫化アリルが酸化してアリシンに変化するため、ネギに切れ目を入れたり、刻んだものをタオルなどでくるんで首に巻くのがよいでしょう。
生のネギは首に巻くことで首が冷え、血流が悪化し、のどの炎症が治りにくくなる可能性があるので、直接首に巻くのはやめたほうがいいでしょう。また、ネギの成分で首がかぶれることがあるので、注意が必要です。
ネギはアリシン以外にも栄養が豊富なので、首に巻くより食事に適量を摂り入れるとよいのではないでしょうか。
おかゆや雑炊、うどんに入れると食べやすくていいですね。
風邪をひいたらネギを食べよう
ネギにはカロテンやビタミンCといった免疫力を高めてくれる栄養素が豊富に含まれています。
昔から、風邪のときに食べる食材としてネギがよいと言われてきたのは、栄養が豊富なことと、体を温める食材であることからです。
それらの栄養素を摂取するには、ネギを首に巻くのではなく食べなくてはいけません。
そこで風邪をひいたときにネギを美味しく食べられる方法をご紹介します。
・ネギは鍋で食べるのが効率的
ネギに含まれるアリシンは熱に弱いため、生で食べるのが効果的です。
味噌汁やうどんの薬味として刻みネギを入れるというのがおすすめの食べ方ですが、薬味としての摂取には食べられる量に限界があります。
ネギの栄養素を損なうことなく、また美味しくたっぷり食べるのであれば、鍋にするのが最適です。
アリシンは水に溶け込む特性を持っているので、鍋であればスープの中にアリシンが溶け込み、スープも一緒に食べることでアリシンを摂取することが可能です。
メニュー例:ちゃんこ鍋、湯豆腐、煮込みうどん、豚汁など
・豚肉、緑黄色野菜を一緒に食べる
ネギのアリシンは、豚肉や緑黄色野菜などに含まれるビタミンB1と相性が良く、結合することでアリチアミンに変化します。ビタミンB1は水溶性で、体内で分解されやすいのに対して、アリチアミンは脂溶性のため、体内に長くとどまることから風邪予防などに有効な摂取方法です。
メニュー例:豚肉のしゃぶしゃぶ、白菜と豚バラ肉の重ね煮など
栄養バランスの良い食事で風邪を予防する
風邪に負けない体をつくるには、ウイルスに対する抵抗力、免疫力を高めるビタミン、ミネラルを十分にとり、バランスの良い食事を摂ることが大切です。
1.ビタミンA
鼻や喉などの粘膜を健康に保つ働きがある。
肉類、うなぎ、鶏肉、チーズ、しそ・人参・春菊・ほうれん草・カボチャなどの緑黄色野菜
2.ビタミンC
風邪に対する抵抗力を高める。
柿・キウイフルーツ・いちご・ブロッコリー・ピーマン・キャベツ・ほうれん草などの果物や野菜類、イモ類
3.ビタミンB1
糖質をエネルギーにかえる働きと、皮膚や粘膜の健康維持。
豚肉、魚介類、玄米や胚芽米、ゴマ、大豆製品
4.たくぱく質
のどや鼻の粘膜、免疫細胞のもととなる栄養素。
魚介類、肉類、卵、大豆製品、乳製品
体を温めるメニューを積極的に摂取しましょう
野菜をたくさん摂ろうとして冷たいサラダばかりを食べていませんか?
特に冬は、体の中から温めて血液循環をよくして、ウイルスなどの外敵と戦う免疫機能を高めることが大切です。
お鍋や季節の野菜を使ったスープなど、体を温めるメニューを意識して食べるようにしましょう。和・洋・中に味付けを変えれば飽きずに食べられます。
体を温める食品は、ネギ、にら、にんにく、玉ネギ、生姜、唐辛子などがあります。
ただし喉が痛む時、胃腸の悪い時には刺激の強い食材は控えましょう。
もし風邪をひいてしまったら消化のよいメニューにします。
胃腸機能も低下しやすくなるので、消化器官に負担をかけないよう、揚げ物や香辛料、食物繊維の多い野菜は控え、蒸し物、スープ、煮物など胃腸にやさしい食事を選びましましょう。
【適した食品】
ごはん・うどんなどの炭水化物、白身魚、脂質の少ない鶏肉、豆腐、卵、繊維質の少ない野菜
風邪に負けない体をつくろう
風邪に負けない体とは、免疫力があり、また風邪をひいたとしても回復力が高い体であるといえます。
ネギを首に巻くのも風邪対策の一つの方法ですが、私たちの体は食べたものから作られます。
どんなものを食べるかによって、体が変わっていきます。
栄養が偏らないよう、バランスのよい食事を心がけ、水分もしっかり補給して、風邪に負けない体をつくりましょう。
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健康管理士・調理師・整体師・ダイエットアドバイザー 池上道代さん
みち整体院 院長
健康管理士、調理師、整体師、ダイエットアドバイザーの資格を持ち、
お客様の健康から美容、食育のお悩みに幅広く応える。
また、日本痩身医学協会認定講師、日本フィジカルナテュール整体スクール神戸校校長として、ダイエットアドバイザーの資格取得から育成まで、トータルでサポートしている。
https://qol-up.wixsite.com/website
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