「水は一日に2リットル飲むと身体に良い」は本当?身体がむくむ原因は水不足!?
近年、日本の夏は猛暑が続くなど、暑さが厳しくなっています。
そのせいで、熱中症で緊急搬送、死亡者数が連日ニュースで取り上げられるほどです。
熱中症対策として心がけていただきたいのは、なんといっても「水分補給」です。
「水は一日に2リットル飲むと身体に良い」ということを見聞きしたことがあるかと思いますが、それって本当なの?と思ったことはありませんか?
そこで、今回は水と人間の身体の関係や気になるむくみのこと、水分補給の際の注意点などをご紹介します。
身体の水分が少なくなると何が起こるのか?
人間が生きていくためには、もちろん口から入れる食べ物や飲み物などの栄養面が大切ですが、最も積極的に摂取しないといけないのは「水」です。
人間の大人の水分の割合は60%で、これは体重60kgの人の場合、36kgが水分ということになります。
もし食べ物がなくなったとしても、水を飲んでいれば食べなくても1ヶ月程度は生きると言われます。
しかし、水がなければ人間の身体は深刻な脱水症状を引き起こし、生命維持が困難になり4、5日しか生きられません。
身体の中の水分をたった5%失うだけで、脱水症状や熱中症の危険があり、20%失うと死に至ると言われています。
栄養はある程度身体の中に蓄えることができても、水分は尿や汗で出て行くばかりなので、摂取しないと必要な水分量を蓄えておくことができないのです。
スポーツ中の水分摂取量不足が熱中症の原因であることや、中高年で多発する脳梗塞なども水分摂取量の不足が要因の一つとだと言われています。
厚生労働省:「健康のため水を飲もう」推進運動 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/topics/bukyoku/kenkou/suido/nomou/index.html
これらのことからも、人間の身体にとって「水」がいかに大切かわかります。
「水」は人間の身体において、こんなにも多くの役割を持っている!
このように人間の身体にとって必要不可欠な水ですが、では具体的にどのような役割を持っているのでしょうか?
そして、なぜ水分補給が必要なのでしょうか?
以下に見ていきましょう。
- 体温調節
人間の身体には体温を一定に保つ働きがあります。外気が体温と同じくらいに高くなったりすると、「汗」をかいて体温を下げようとしますから、汗で失った水分を補給する必要があります。
- 摂取した食べ物を消化・分解し、栄養素を身体の隅々に運ぶ
食べた物は水分とともに消化して分解されます。分解された栄養素を身体の隅々に運び、その栄養を吸収するためにも水が必要です。
- 身体に溜まった老廃物を出す
身体の老廃物は便や尿などによって排泄されます。便秘の主な原因は体内の水分不足です。そして、身体の排泄機能の中で毎日一番多くの新陳代謝をするのが腎臓。つまり尿です。尿量が少ないということは、水が足りないと言えます。スムーズな老廃物の排泄には水が必要です。
- 血液粘度を下げて流れをスムーズにする
血液は90%が水でできています。血液が流れにくいと高血圧や動脈硬化、さらには脳卒中などの深刻な病気につながる恐れがあります。血液の流れをスムーズにするためにも水が必要です。
- 免疫力を上げる
身体の免疫力が落ちてくると、病気や体調不良を起こしてしまいます。
免疫力が落ちてしまう原因は様々ですが、水分不足も免疫力を弱める原因の一つと言われています。
免疫力が落ちた身体は、ウィルスや雑菌の影響を受けて、体調不良を引き起こして罹患後の治癒までに時間がかかってしまったりするのです。
- 1日に必要な水の量の目安と注意点
1日に私たちの身体から出ていく水分は約2.5リットルと言われ、汗や呼吸、尿、便の水分などで排出されています。
水は体内で常に循環するので、排出された水分は補給しなければなりません。
このうち1リットルは、食事などから摂取しています。残りの1.5リットルのうち、0.3リットルは体内で作られている(※炭水化物やタンパク質、脂肪などの代謝によって得られる)ので、最低1.2リットルは飲み水で補う必要があります。
(季節や年齢、職業などで必要な水の量はそれぞれ違います)
朝起きた時、トイレに行った時、入浴前後、就寝前など、生活のリズムの中に水分摂取をしっかりと取り入れていきましょう。
ただし、一度に大量に水を飲んでも水分補給とは言えません。
飲んだ水は、胃や腸に取り込まれ、その後血液やリンパなどで全身を巡ります。しかし、大量に飲んだ水はそれらの器官にうまく吸収されず、尿などになり速やかに体外へ排出されてしまうのです。
身体が一度に吸収できる水分量は250mlですから、一度にたくさん飲むよりはこまめに摂取することが大切です。
他にも水分補給においては、以下の点にも注意しましょう。
・喉が乾く前に水分を補給する
「喉が乾いた」と感じる時には、すでに脱水症状が起こっている状態と言えます。
脱水症状のサインとして、喉の渇きやトイレ(尿)の回数が減る、尿の色が濃くなるなどの症状が挙げられますが、特に高齢者は脱水症状が進んでいても喉の渇きを感じにくいことがあるため、飲みたいと思わなくても、外出、運動、入浴、睡眠の前後など、水をこまめに飲む習慣を身につけましょう。
・アルコール摂取は脱水状態になりやすい
アルコールを摂取すると、肝臓でアルコールを分解する際に水が必要です。
また、ビールは特に利尿作用が強く、1リットルのビールを飲むと1.1リットルの水を失うと言われています。
さらに夏の炎天下でのビールは、発汗で一層水分が失われてしまい、より脱水症状になりやすいのです。
お酒を飲む際には、途中で水を飲む、寝る前に水を飲んでから寝ると言った習慣を身につけましょう。
水をたくさん飲むとむくむ?! そのむくみは水分不足が原因かも?!
このように、人間にとって水分補給がいかに大切なことかが分かっていただけたかと思いますが、
「水をたくさん飲むとむくんでしまうのではないか?」
と心配される方も多いようです。
特に女性にとっては、むくむことによって、顔が大きく見えたり、足首がなくなったりして太って見えないか、という美容面からの心配がありますね。
むくみの原因は様々ですが、水分の取りすぎでむくむというより、水分不足によって身体が水分を失わないように溜め込んでしまうことで起きる事が多いのです。
他にもデスクワークなどで長時間座りっぱなし、運動不足で体液循環が低下するなども原因のひとつ。
しっかりと水分補給をしながら運動することは、むくみ対策として有効です。
私たちの身体は、半分以上水分から成り立っています。
酸素や栄養素を運ぶ上水道のような血管、老廃物を運ぶ下水道のような役目をしているリンパ管。
どちらも水がないとスムーズに運ぶ事ができなくなるため、水分不足によって流れが滞る事でむくみやすくなるのです。
しっかり水分を補給し、適度な運動を心がけましょう。
季節によって適切に水分を補給しよう
日本には四季があります。
それぞれ気温や湿度も違うため、適度な水分補給の目安が分かりにくい方もいらっしゃるかも知れませんね。
そこで以下に季節ごとの水分補給についてまとめました。
<春>
春は急に寒くなったと思えば初夏のような気温になったりと、体調管理が難しい季節でもあります。
花粉の気になる方は、喉や鼻など粘膜の潤いも大切です。
冬よりも、水を飲む量を少しずつ増やしていくことを意識しましょう。
<夏>
夏は暑さから喉が渇き、自然と水分摂取量が多くなると思いますが、逆に冷房の効いた部屋で過ごして喉の渇きを感じなかったり、アイスコーヒーやビールなどの嗜好品が増え、知らず知らずのうちに水分不足になりがちです。
夏バテや、熱中症などを予防するためにも意識して水を飲みましょう。
<秋>
秋は涼しくなり過ごしやすい季節のはずですが、近年9月末くらいまで夏のような気温の日が続くこともあり、徐々に空気が乾燥して汗が蒸発するため、気がつかないうちに、水分不足の状態になっていることがあります。
喉を潤すだけではなく、適切に水を飲みましょう。
<冬>
冬は気温が下がり、汗をかいていないため水を飲まない傾向になりがちです。
ウィルスが活発化する時期でもあるので喉や鼻の粘膜に潤いを与えるためにも水は必要です。身体の冷えが気になる人は、温かいお湯がおすすめです。
人の身体に必要不可欠な水。
季節や環境、場所や状況に合わせて、意識して水分を補給してあげるようにしましょう。
健康な方は1日2リットルの水を飲めるのが望ましいですが、一気に摂るのではなく小まめに最低1.2リットルは飲むように意識してください。
むくみが気になる方は、適度な運動を行いながら、水分を補給してくださいね。
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健康管理士・調理師・整体師・ダイエットアドバイザー 池上道代さん
みち整体院 院長
健康管理士、調理師、整体師、ダイエットアドバイザーの資格を持ち、
お客様の健康から美容、食育のお悩みに幅広く応える。
また、日本痩身医学協会認定講師、日本フィジカルナテュール整体スクール神戸校校長として、ダイエットアドバイザーの資格取得から育成まで、トータルでサポートしている。
https://qol-up.wixsite.com/website
バックナンバー
vol.1 鰻を食べると、本当に夏バテ防止になるの?鰻と梅干しとの食べ合わせは本当にNG!?
vol.2 「水は一日に2リットル飲むと身体に良い」は本当?身体がむくむ原因は水不足!?
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