食事の謎を解き明かす栄養トリビア

「卵はコレステロールが多いから1日1個までしか食べてはいけない」って本当?コレステロールを下げる食事とは?

卵は私たちの毎日の食事に欠かせない食材です。

目玉焼き、オムレツ、卵焼きなどのほかにも、プリンやケーキなどのスイーツにも使われる食材ですから、気づけば1日1個以上は食べているかもしれません。

 

しかし、「卵は1日1個までしか食べてはいけない」という話を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

 

卵はコレステロールが高い?

 

Lサイズの卵1個にはおよそ300mgのコレステロールが含まれています。

そこだけを取り上げられ、卵は「コレステロール管理において好ましくない食品」と言われてきましたが、はたして本当でしょうか?

 

そこで今回は、卵の摂取量や栄養素についてみていきましょう。

 

人は卵を食べてもコレステロールはほとんど増えない

卵白にはたんぱく質が多く含まれ、卵黄には体に必要なビタミン類、コレステロール値を減らす働きがあるコリンなど体に必要な栄養素が含まれています。にもかかわらず、コレステロールは動脈硬化の元凶と言われ、「コレステロール値が高い人は卵を食べるのを控えめにするのがよい」と言われてきました。

 

はたして、これは本当にそうなのでしょうか?

これについて、約100年前に行われた大変興味深い研究が紹介されています。

 

ロシアの病理学者ニコライ・アニチコワが、ウサギにコレステロールが大量に含まれている餌を与える実験をおこない、その結果、血液中のコレステロールが急増し、人に認められる動脈硬化によく似た血管病変を作り出すことに成功しました。

これによりコレステロールと動脈硬化の関係が初めて明らかになったと思われたのです。

 

しかし、ウサギは草食動物なので、コレステロールの吸収を調節するバリアーは備わっていません。ウサギにコレステロールが多く含まれている餌を食べさせれば、コレステロールが急増するのは当たり前です。

 

このアニチコワの実験は草食動物への実験で、肉食や雑食動物に対するものではないのに、私たち雑食性の人間とウサギを同様に考えたことが間違いなのです。

 

その後、雑食性の別の動物(ラットなど)を使った研究(追試)では高コレステロール食の投与によるコレステロールの上昇や典型的な動脈硬化は見られませんでした。

 

卵はコレステロールが豊富な食品で、日常的によく食べられる食品であり、摂取量も多くなります。

 

しかし、人では卵を食べてもコレステロールはほとんど増えません。

1日に5個や6個の卵を食べたとしても、多くの人では血中コレステロール値は上昇しないのです。(ただし、家系的にコレステロール値が増えやすい家族性高脂血症では高くなることがあります。)

 

※卵とコレステロール - 動脈硬化をめぐる論争と混乱 -

https://kunichika-naika.com/information/hitori201411

 

卵のカロリーと栄養素

コレステロールが多いと言われている卵には何となくカロリーも高い様なイメージがありますが、実は2個食べても166Kcal。お茶碗一杯のご飯よりカロリーは少ないのです。

 

Lサイズのたまご1個分(60g)のカロリーを比較してみると、白身(38g)は18kcl、黄身(17g)は66kcalとなり、圧倒的に黄身のカロリーが高くなります。また、黄身1個でコレステロールを250mg含んでいるので、気になっている方は黄身の量を控えて食べるなどの工夫をすると良いでしょう。

 

生活習慣病が気になる人は、高カロリーな食事を控えることが先決ですが、卵に関しては血中コレステロール値にほとんど影響を与えないという研究や、脂質、たんぱく質、カルシウム、鉄分、ビタミンB群など多くの栄養素が含まれているという点から、適度に摂取しても問題ない食材と言えるでしょう。

 

 

そもそも、コレステロールって何?

コレステロールとは、生命の維持になくてはならない、体の中にある脂質の一種です。血液中だけでなく、脳、内臓、筋肉など全身に広く分布しており、細胞の働きの調節や栄養素の吸収などに関わっています。

 

なんとなく、コレステロールと聞くと良くないイメージになりがちですが、人間の体は約60兆個の細胞から成り立っており、その細胞膜の材料もコレステロールなのです。

そう考えると、コレステロールも人間の体になくてはならない重要な役割を担っていることが分かります。

 

コレステロールには2種類のコレステロールが存在すると思われがちですが、実は体内における役割の違いで善玉(HDL)と悪玉(LDL)に分けられているだけで、コレステロールは1つです。

 

HDL(善玉)コレステロールは、血管にある余分なコレステロールを肝臓に戻す「回収係」の役割を持っています。

反対にLDL(悪玉)コレステロールは肝臓から全身の細胞にコレステロールを届ける役割を果たしています。

 

人間が健康を保つためには、コレステロールが過剰にならないよう、HDLとLDLがバランス良く機能していることが大切なのです。

 

なぜ、「コレステロール」は良くないイメージになりやすいのか

HDL(善玉)コレステロールがLDL(悪玉)コレステロールを回収してくれることで、動脈硬化の防止につながるのですが、LDL(悪玉)コレステロールが細胞内に必要以上に増えてしまうと、血液の中にある過剰なコレステロールが動脈の壁に次々と蓄積し、動脈硬化を引き起こします。これが、LDLコレステロールが「悪玉」と呼ばれる理由です。

 

人間の身体に不可欠なコレステロールも、過剰に摂取すれば生活習慣病の原因となります。

 

コレステロール値が高くなると、脂質異常症→動脈硬化→脳出血・脳梗塞・狭心症・心筋梗塞などを引き起こす原因となり得ます。

 

それでは、コレステロール値は、低ければ良いのか?

コレステロール値が高いことでのリスクは話題にのぼりがちですが、低すぎることのリスクについては、あまり話題になることがありませんよね。

 

そこで、コレステロールが不足することのリスクを紹介します。

  • 血管の細胞膜が弱くなるので、血管がもろくなり、脳出血を起こしやすくなる
  • 胆汁酸が不足するので、脂肪が消化、吸収されにくくなる
  • 男性・女性ホルモンが低下する
  • 副腎皮質ホルモンの減少により、疲労、感染症、食欲減退をまねく
  • 脳の神経伝達の働きが悪くなる

 

コレステロール不足の食事を摂り続けると、たんぱく質、ビタミン、ミネラルも不足し、しっかりとした細胞膜が作られなくなり、ウイルスや細菌から体を守る防護機能が衰えていきます。その結果、免疫細胞の中心でもある白血球の働きが弱くなり免疫力が低下します。

 

総コレステロール値が「高い」or「低い」ではなく、LDLコレステロールは低く、HDLコレステロールは高く、その比率が大切なのです。

 

日本人はもともとコレステロール値の低い民族だった

日本人が昔から食べていた食事は、野菜、魚類中心であったため脂質が少なく、主食・主菜・副菜・汁物といったバランスがよい食事だったため、自ずとコレステロールの低いメニューになり、コレステロール値の低い民族でした。

 

ですが、現在は食生活の欧米化に伴い脂肪摂取が増え、肉類が多く、野菜料理のメニューが少なくなっています。食生活においても便利になった現代では、食事内容も簡素化し、外食・冷凍食品(加工品)・惣菜(宅配)・コンビニ商品が簡単に手に入り、そのため料理をする機会が減り、料理をしない、できないという人も増えました。

こういったことから、日本人のコレステロール値は米国人と並ぶようになったと言われています。

 

私たちが、今の時代「普通」に生活しているだけでも、誰しもが脂質異常症になるリスクがあると言っても過言ではないでしょう。

 

<食べすぎないようにしたいもの>

・脂肪の多い肉・鶏卵・魚卵・バター等

・糖質の多い食べ物

・お菓子・アルコール等

 

<できるだけ食べたいもの>

・青魚(あじ・さば・さんま・いわし等)に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)EPA(エイコサペンタエン酸)は血中のLDLコレステロールや中性脂肪を低下させる働きがあります。

・野菜全般・きのこ類・海藻類・こんにゃく・豆製品などの食物繊維の多い食べ物は動物性の飽和脂肪酸の排出を助け、吸収を防ぎます。

 

≫食事のバランスが気になる方に「クロレラ」がおすすめな理由

 

自分の体は自分で守るしかない

脂質異常症を改善するための基本は、お薬などでコントロールするのではなく生活習慣の改善が先決です。

LDLコレステロール値や中性脂肪値が高い場合、理想とされる目標値まで下げる必要があります。

食生活の改善、適正体重の維持、適度な運動、禁煙などがとても重要です。なかでも、食生活の改善が一番重要です。1日の摂取エネルギーが適正か、アルコールを飲み過ぎていないか、コレステロールや動物性脂肪の多い食品を食べ過ぎていないかをチェックし、改善できる点があれば、できることから実行していきましょう。

 

また、適正体重を維持するためには継続できそうな運動をすることが大切です。ウォーキング、ジョギング、サイクリング、水泳など自分に合ったペースで継続させることにより、基礎代謝量が上がって太りにくい体になります。

それとともに、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすことができます。

さらに、禁煙、ストレスの解消、規則正しい生活、上質な睡眠をとることなども大切です。

お医者様から注意を受けている方は、定期的に血液検査をして、自分の数値の変化を知っておくことも重要です。

 

「卵は1日1個までしか食べてはいけない」ということは十分な科学的根拠がありません。健康な体づくりのために、生活習慣を整え、栄養豊富な卵を適度に取り入れバランスのよい食事を心がけて、自分の体は自分で守っていきましょう。

 

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健康管理士・調理師・整体師・ダイエットアドバイザー 池上道代さん

みち整体院 院長

健康管理士、調理師、整体師、ダイエットアドバイザーの資格を持ち、
お客様の健康から美容、食育のお悩みに幅広く応える。
また、日本痩身医学協会認定講師、日本フィジカルナテュール整体スクール神戸校校長として、ダイエットアドバイザーの資格取得から育成まで、トータルでサポートしている。

https://qol-up.wixsite.com/website

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