知っておきたい!健康最前線

第1回 糖尿病は「しめじ」と「えのき」にご用心。

第一回「糖尿病」 糖尿病は「しめじ」と「えのき」にご用心。

藤原道長も悩んだ糖尿病

紫式部が書いた「源氏物語」の主人公、光源氏のモデルと言われているのが、平安時代に栄華を誇った藤原道長。「この世をば わが世とぞ思う 望月の 欠けたることも なしと思えば」と歌い、世の中にこわいものなしの道長でしたが、実は糖尿病に悩まされていました。糖質を栄養分としてとりこむのに必要なホルモン「インスリン」の分泌と働きが悪く、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高まる糖尿病は、現代の生活習慣病の代表格ですが、平安時代の昔からあった古~い病気。社会は大きく変わっても、一向に糖尿病が減る気配はありません。現在、全国の糖尿病有病者と糖尿病予備群の合計は約2050万人。国民の6人に1人にのぼります。

糖尿病のこわい合併症=「し」「め」「じ」

糖尿病は「サイレント・キラー」(静かな殺し屋)と呼ばれ、初期段階ではほとんど自覚症状がありません。健康診断で糖尿病の疑いを指摘されたのに放置しておくと、取り返しのつかないことに。糖尿病が原因で次々と引き起こされる「合併症」がこわいのです。その代表が、神経障害(し)、網膜症(め・眼)、腎症(じ)の3大合併症。その頭文字3文字をとって「しめじ」と覚えてくださいね。
「し」=神経障害は合併症の中でも早くに発症し、手足のしびれや痛みを感じるようになります。「め」=網膜症は目の病気です。眼底の血管が詰まることで視力が低下し、悪化すると失明してしまいます。「じ」=腎症は腎臓の機能が低下し、血液をろ過することができない状態。おしっこが出なくなり生命にもかかわる深刻な状態ですので、週に3日程度、機械で血液をろ過する「人工透析治療」を受けなければならなくなります。

「え」「の」「き」のリスクも上昇

「しめじ」よりももっと深刻な合併症が「えのき」です。これは壊疽(え)、脳梗塞(の)、虚血性心疾患または狭心症(き)のこと。「え」=壊疽は、血行の悪くなった足などにちょっとした傷や水虫などがきっかけで、傷が治らず腐敗すること。悪化すれば足の切断が必要になることもあります。「の」=脳梗塞では命はとりとめても片麻痺などの後遺症が残り、要介護状態になるリスクが。「き」=虚血性心疾患は心筋梗塞などをはじめとする心臓の病気。ご存じのように、命の危険がある病気です。
さらにさらに、糖尿病によって発症リスクの高まる病気がいくつもあります。例えばがん。糖尿病にかかると、そうでない人と比べると男性で1.27倍、女性で1.21倍、がんにかかりやすくなります。がん以外にも、睡眠障害、うつ病、認知症、ED(勃起障害)、歯周病など、糖尿病によってリスクが高まる病気は枚挙にいとまがありません。

糖尿病は「しめじ」と「えのき」にご用心。

医療費負担も大きく、対策が急がれている

身体的なダメージやQOL(生活の質)を著しく下げる可能性が高い糖尿病ですが、治療には経済的にも大きな負担がかかります。
例えば、糖尿病が原因で人工透析を受けると、1ヶ月にかかる費用は外来で一人あたり約40万円。なんと、患者さん1人あたり年間500万円もの医療費がかかることになります。公的助成制度のおかげで患者さんの自己負担は低く抑えられていますが、国の医療費を押し上げる要因になっているのは確かです。
この状況をなんとかしなければ!と国は糖尿病対策に本腰を入れ始めました。その一環として、2015年度よりすべての健康保険組合で「データヘルス計画」の取り組みが始まります。健康保険組合がレセプト(診療報酬明細書)や健康診断の結果などのデータを活用して被保険者の病気予防や重症化防止の指導を効率的に行うものです。特に生活習慣病、糖尿病対策が優先的な課題となっています。会社の健診で「糖尿病の疑いあり」と指摘されているのに、病院に行った形跡がなかったり、通院を勝手にやめてしまい放置している人は、電子化されたレセプトデータで会社にすぐバレて叱られるはめに。いやはや、大変な時代になりました。

「糖尿病」と「糖尿病予備軍」の推移(1997〜2012年)

糖尿病予防に大切なのは「ABCDE」

糖尿病予防のポイントは簡単に「ABCDE」と覚えられます。

糖尿病は一度発症すると一生付き合っていかなければならない病気です。将来、ずっと健康で幸せな生活を送るために、改めて普段の食生活や運動習慣を見直してみてはいかがですか。

 

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