知っておきたい!健康最前線

第6回 転ばぬ先のロコモ予防。

第六回 ロコモ予防 転ばぬ先のロコモ予防。

女性にしのびよるロコモのリスク。

みなさんは“運動不足”が原因で、日本で年間どれくらいの方が亡くなっているかご存じですか?世界的に有名な医学雑誌「ランセット*」によれば、なんとおよそ5万人もの方が、心臓病やがんなど、運動不足が関連したと考えられる病気で亡くなっていると推定されています。

また、運動不足は命を落とさないまでも、要介護状態をまねきやすくなります。そのキーワードは「ロコモティブシンドローム(通称:ロコモ)」。ロコモとは「運動器症候群」の意味で、骨や関節、筋肉などの運動器の機能が低下することにより、転倒や骨折のリスクが高まり、寝たきりや要介護になりやすい状態をいいます。事実、要介護になった方の原因を調べると、関節疾患と転倒・骨折を合わせて全体のおよそ20%を占め、脳卒中とほぼ同程度。特に女性の場合は30%近くにおよび、女性の介護予防にロコモ予防は非常に大切です。 ロコモは予備軍も含めて4700万人いると推測されています。国民病とも言われるメタボリックシンドローム(メタボ)の予備軍を含めた人口はおよそ1940万人と言われているので、ロコモはメタボのおよそ2.5倍にもなるのです。

現在、政府では日本人の健康増進を図るための活動「健康日本21」を展開しており、その目標として「健康寿命を伸ばすこと」があげられています。「健康寿命」とは寝たきりや介護を受けることなく、日常生活を制限されることなく過ごせる期間のこと。高齢になってもからだを動かせ、アクティブに暮らすためにも若いうちから「ロコモ予防」を意識したいものです。

* 参考資料:THE LANCET日本特集号(2011年9月),熊谷嘉輝「100歳まで元気!寝たきりにならない簡単体操と食事法」

試してみよう!5つの動作でロコモチェック。

「私はまだまだ大丈夫」「ロコモって親の話でしょ」なんて思っている方も、油断は禁物。ロコモは早ければ40~50代から、静かにしのびよります。そこで、次のチェックを試してみて。自分がロコモかどうかは簡単な動作を確認するだけでできます。ひとつでもスムーズにできない動作があれば、ロコモの前兆です。

1.膝の曲げ伸ばし 椅子などに座っている状態から立ち上がる時や、逆にしゃがむ時に膝や股関節がスムーズに動くか。痛みや関節が引っかかるような感じがある時は要注意です。 膝の曲げ伸ばし

2.前後に脚を開いて、上体を上げ下げ 脚を前後に開いて、スクワットのように上体を上下させます。からだを下げた時に前に出している脚の膝が内側に曲がってしまう方は、関節に負担がかかっており、やがて痛みが出てくる可能性があります。前後の脚を代えて、両脚をチェックしてみましょう。 前後に脚を開いて、上体を上げ下げ

3.立位体前屈 立ったまま上体を前に倒し、膝を曲げずにどの程度前にかがむことができるかチェックします。腿の裏側、背中、お尻の柔軟性が充分にあれば、ひざを伸ばしたままで手のひらを遠くにでもつくことができます。背中が曲がり、骨盤が後ろに引いてしまう方は足首の柔軟性が不足している「ロコモ」予備軍のサイン。 立位体前屈

4.片足立ち 両手を腰にあて、片足で立ちます。その時に左右の手の位置を確認し、一方の手が片方の手より下がっていないか見てください。これは歩行の時に重心のバランスが取れているかのチェックになります。うまくバランスが取れていないと歩行に支障が出てロコモを進行させる可能性が高くなります。 片足立ち

5.両腕でバンザイ バンザイをした時に首が前に傾いていないかチェックしてください。首が前に出てきた人は肩の柔軟性に問題があります。四十肩、五十肩からロコモになる心配があります。 両腕でバンザイ

いかがですか?筋肉の柔軟性やバランス感覚の低下だけでなく、関節の痛みもロコモにつながる前兆です。痛みのために運動ができず、筋力が低下する…という悪循環は、ロコモの典型的なパターンなのです。強い痛みがある場合は治療が必要ですが、運動と筋力アップで若いからだを取り戻せます。

ロコモ予防のために「プラス10」。

ロコモの予防には普段からよく歩いたり、柔軟性を高めるためにストレッチや体操をしたりすることが大切です。とは言うものの、言うは易し行うは難し。なかなか続けることができません。厚生労働省はこのロコモをはじめ糖尿病や心臓病、がん、うつなど予防するためのガイドライン「アクティブガイド」をつくり、その中で「プラス10」という提案をしています。「プラス10」とは今より10分多くからだを動かして健康寿命を伸ばそうというもの。目標時間は18歳〜64歳は60分、65歳以上は40分。からだを動かすことはなにも運動だけではなく、家事や買い物なども含まれています。例えば、掃除や洗濯をキビキビ行ったり、電車やバスの通勤を自転車に代えたり。歩幅を広げて早く歩くことを意識したり、テレビを観ながらストレッチをしたり、ちょっとした工夫で活動量を増やすことができます。さらに運動をするときに家族や仲間たちと一緒に行えば、楽しさも倍増・ストレス解消で、健康効果アップはまちがいなしです。毎日たったプラス10分、余計にからだを動かすことで、寝たきりにならずいつまでも元気で暮らせるなんて、とても素敵なことではないでしょうか?

このページの先頭へ