知っておきたい!健康最前線

第7回 若くてもご用心!「サルコペニア」の恐怖!

第七回 若くてもご用心!「サルコペニア」の恐怖!

前回、ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)についてとりあげましたが、ロコモのひとつの要因に「筋肉の減少」があります。全身の筋肉量が減り、筋力も低下して日常生活に支障をきたす―――筋力がなくて、立っていられない。座れば座ったで、こんどは立ち上がるのが非常にきつく、動けなくなる。足が充分に上がらず、カーペットや畳のへりにさえつまずきやすい。若いうちはなかなか想像ができないかもしれませんが、ふだん運動不足で座っている時間が長いと、将来、あなたにも起こる可能性があるのです。

サルコペニアとは

街中で、横断歩道をゆっくりゆっくり歩き、青信号がそろそろ変わってしまうのではないかと心配になってしまうお年寄りを見かけたことはないでしょうか。このような秒速0.8m未満の歩行速度であれば筋肉減少症、「サルコペニア」と判断されます。「サルコペニア」とはギリシャ語の「肉」=「サルコ(sarx)」と「喪失」=「ペニア(penia)」を組み合わせた造語。歩行速度の低下、握力検査による筋力の低下のどちらかがあり、かつ筋肉量が減少していればサルコペニアと判断されます。日本では65歳以上の高齢者の5人に1人がサルコペニアとか。全身の筋肉が衰えると骨盤の筋肉も衰えるため尿漏れを起こしやすくなり、足は変形して痛み歩けなくなるなど、その影響は深刻です。いずれちょっとした移動も、自力での排泄もできなくなり、寝たきりになるリスクがぐっと高まるのです。

老化だけが原因ではありません

「年をとれば誰でも筋肉は衰えるのだから、仕方ないのでは?」と思う方もいるかもしれません。たしかに、45歳以上になると、年に1%ずつ筋肉の量は減っていきます。でも、加齢以外にも原因はあるのです。

老化による自然な筋肉量・筋力の低下以外のサルコペニアを「二次性サルコペニア」といいます。二次性サルコペニアには「身体活動性」「疾患性」「栄養性」の3つがあります。簡単にいうと、「身体活動性」は運動不足や寝たきり、「疾患性」は何らかの病気によるもの、「栄養性」は筋肉をつくるたんぱく質の摂取不足や、胃腸の病気で栄養が吸収できないために起こるものです。

40~50代の方にとっては、「身体活動性」がいちばん身近な問題でしょう。なんといっても運・動・不・足。筋肉量の減少が真っ先に来るのは脚の筋肉です。座ってばかりの生活は、この筋肉を確実に衰えさせるのです。

また、脚の筋肉は心臓が送り出した血液を、ギュッと戻して心臓のポンプ機能を助けるという役割があり、“第2の心臓”と呼ばれています。筋力が衰えればこの機能も低下するので、手足の血行は悪くなり、全身の健康にも影響します。

あなたももしかしたら「サルコペニア」かも。

このサルコペニア、簡単に自分でチェックできる方法があります。気になる方は試してみてください。

●試してみよう「指輪っかテスト」

(東京大学高齢社会総合研究機構の飯島勝矢准教授考案)

両手の親指と人差し指でつくった輪っかで、ふくらはぎの一番太い部分を囲みます。

指でつくった輪よりも、脚の方が細くてすき間ができる人は、サルコペニアの可能性があります。

xxxxxxx

ところで、いかにも筋肉がありそうな太目の方も無関係ではありません。一見、筋肉量が充分あるようにみえても、運動不足のために筋肉の質の悪いことがあるのです。質の悪い筋肉とは、「さし」、つまり脂肪が入っている筋肉です。ふだんあまり使われない脚の内側の筋肉にこれがよく見られます。つまり、見た目は筋肉だけれど、実は脂肪が入り込んでいるというわけで、いわゆる「隠れ肥満」状態です。この状態を「サルコペニア肥満」といい、やはり将来的にサルコペニアになるリスクがあります。

運動とたんぱく質で改善できます

「私もサルコペニア予備軍かも!?」と心配になった方もいらっしゃるかもしれません。でも、大丈夫。今からでも充分間に合います。骨に比べると筋肉は生まれ変わる期間が短く、極端な話、100歳でもトレーニングすれば発達します。

最も効果的な運動は「スクワット」。人間の体のなかでも最大級の筋肉である大腿部に働きかける効率のいい運動です。これを深呼吸のペースで1分間くり返すことで、筋力に刺激が与えられます。筋肉の回復には時間がかかるので、2日に一度、忙しければ週1~2回でもOKです。

xxxxxxx

体力のない方や高齢の方は無理をせず、椅子からゆっくり立ち上がる動作を繰り返すだけでも、スクワット効果が得られます。

xxxxxxx

また、筋肉量を保つには食事も大切。腎臓病などの病気で制限されている方以外は、積極的にたんぱく質を摂ることで、トレーニング効果がアップします。多くの種類のアミノ酸を摂ることがポイントですので、肉や魚、豆類などさまざまな食品から取り入れるようにしてください。

(参考資料:厚生労働省「生活習慣病予防のための健康情報サイト」、長寿科学振興財団「健康長寿ネット」、熊谷嘉輝「100歳まで元気!寝たきりにならない簡単体操と食事法」、朝日新聞2014年10月8日)

このページの先頭へ