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第8回 がん100万人時代、特に女性は「乳がん」に注意!

第八回 がん100万人時代、特に女性は「乳がん」に注意!

医学の進歩で治療技術は格段に上がったとはいえ、まだまだ「がん」はこわい病気です。最近も著名人ががんになったり、亡くなるなどのニュースが続いた影響で、がん検診センターの予約が急増しているという報道がありました。

そこで今回は、特に女性が気になる「がん」と「がん予防」について取り上げます。

「私もいますぐ検診を受けておこうかな…」という方はもちろん、「私にはまだ関係なさそう」「私にはまだ早い」と思っている方もぜひ、読んでみてください。

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増え続ける「がん」

日本人の死因のトップが「がん」であることはご存じの方も多いと思います。2015年は新たに98万人ががんと診断され(予測値)、「がん100万人時代」がもうすぐそこまで来ています。がんと2位の心臓病、3位の脳卒中が「日本人の3大疾病」と呼ばれますが、実は、1位と2位の間には大差が。3位の脳卒中では年間約12万人、2位の心臓病では約20万人の方が亡くなっているのに対し、1位のがんはなんと36万5000人。2位との差が1.5倍もあるのです。

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こんなに亡くなる人が多いと、本当にがん医学が進歩したのか、疑いたくもなってしまいます。でも実は、がん死亡が増えている理由には「高齢化」があります。がんというのは基本的には自分自身の細胞の老化や複製の時のエラー。それをたまたま免疫機能が取りこぼしたことで発症してしまいます。昔はがんになる前に心臓病や脳卒中で亡くなっていたのですが、医学が進歩して回復できる病気に。そして社会が高齢化すればするほど、がん人口が増えてきたというわけです。しかし、がんで亡くなる人のうち、高齢化の影響を取り除いた統計、つまり純粋にがんだけが原因で亡くなる人は1990年代後半からは減少しています。やはり医学は進歩しているのです。

乳がんが最も多いのは40代後半!

では、女性はどんながんにかかりやすいのでしょうか。

女性に多いがんには「乳がん」「大腸がん」「肺がん」「胃がん」「子宮がん」などがあります。このうち、近年特に増加しているのが「乳がん」で、今年も約9万人(予測値)の方が新たに診断されています。

先ほど、「がんの増加は高齢化による影響が大きい」という話をしましたが、実は、乳がんはちょっと特殊です。多くのがんは60代以上で発症するケースが多いのに、日本人の乳がんに限っては、40代後半でかかる人が最も多いのです。40歳以上になったら、最低2年に1回の乳がん検診を受けることが奨励されているのは、乳がんの実態とよく見合っているのです。でも、現在、乳がん検診受診率は34%。他のがんも含め、女性は男性に比べてがん検診を受ける人が少ないのが実状です。

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「がん家系じゃないから大丈夫」!?

ところで、「うちはがん家系じゃないから大丈夫」と確信している方も結構見かけます。これって本当なのでしょうか。

確かに、遺伝によりがんを発症しやすい人はいます。たとえば、アンジェリーナ・ジョリーさんが乳房を摘出したことで広く知られるようになった「遺伝性乳がん卵巣がん症候群(Hereditary Breast and/or Ovarian Cancer Syndrome;HBOC)」という病気もその一つです。でも、このような遺伝的な原因で起こるがんは、乳がんの場合、患者全体の5~10%。他のがんでも遺伝の影響は同程度と考えられています。つまり、がんの9割以上は家系とは関係なく起こるということであり、「がん家系じゃないから大丈夫」ということはないのです。

子どもの有無や初潮年齢とも関係します

どのような人が乳がんにかかりやすいかについては、科学的に明らかになっていることがいくつかあります。まずは出産・授乳経験がない人。出産や授乳が乳がんの予防になるのは確実なので、子どもを持たない女性が増えると乳がんも増えます。また、初潮が早かった人、糖尿病にかかっている人も乳がんにかかりやすいと言えます。飲酒やタバコ、運動不足や肥満も乳がんのリスク要因になります。

タバコについては、全体的には喫煙率はだんだん下がってきているというものの、女性に限ってはなぜか増えているという現実がありますし、自分が吸わなくても身近な人のタバコの煙(副流煙)を吸い込むことでもリスクは上がってしまいます。タバコの有害成分が身体から抜けるまでにはかなりの時間がかかり、がんのリスクが吸わない人と完全に同じになるには、なんと15年もかかると言われています。

こうしたリスク要因は、あくまでも集団で見た結果。個人個人で、タバコを吸わずお酒も飲まない人ががんになることもありますし、がんになった方の原因をこれらのリスク要因だと決めつけることもできません。それでも、傾向としてわかっているリスク要因は、予防法としては科学的根拠があるものですので、できることから取り組んでみるのはよいことだと思います。急に出産しろと言われてもこればかりは難しいですが、禁煙(周囲の人に促すことも含めて)と節酒(適量なら問題ないという報告もあるので、禁酒とは言いません)、軽い運動などから意識してみてはいかがでしょうか。定期的に乳がん検診を受け、月に1回はお風呂で自己触診を。少しでも早期発見に努めるようにしたいものです。

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【参考資料】
・総務省統計局「グラフで見る日本の統計」
・国立がん研究センターがん対策情報センターがん情報サービス「がん登録・統計」
・日本乳癌学会「患者さんのための乳がん診療ガイドライン」

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