知っておきたい!健康最前線

第12回 花粉とPM2.5の憂うつな関係

第十二回 花粉とPM2.5の憂うつな関係
弥生三月。「弥生」には「ますます生い茂る」の意味があり、草木が芽吹く季節を表しています。本来ならば春間近の気持ちの良い時期なのですが、いつの頃からか目がシバシバ、鼻がグズグズする花粉症シーズンに変わってしまいました。特に最近はPM2.5の問題もあり、憂うつ度は上昇気味です。

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市販のマスクでも99%の花粉を除去!

花粉症の原因となる植物はなんと60種類にもおよぶのですが、その代表はスギとヒノキ。3月がスギ、4月がヒノキの花粉が飛散するピークですから、花粉症の方はこれから2ヶ月ほどわずらわしい毎日が続きそうです。沖縄にはスギが自生していないと言われているので、「この時期だけ沖縄に避難!」といけばいいのですが、世の中そんなに簡単にはいきませんよね。
花粉症の予防や症状を軽くするためには、まず花粉が体内に入ってくるのを防ぐことです。外出するときにはマスク、メガネ、帽子、そして花粉が付きにくい綿やポリエステルの衣類を着用することです。
マスクは様々なものが市販されているので、ご自分が気にいったものを選べばOKですが、ぜひご紹介したいのが簡単なアレンジで効果を高める“インナーマスク”です。つくり方は簡単。化粧用のコットンを丸めてガーゼに包み、このコットン(インナーマスク)を鼻の下に置いて、その上に通常の市販マスクを着用します。このインナーマスクを加えれば、市販のマスクでも99%以上の花粉除去率になります。

■インナーマスクの作り方(環境省「花粉症環境保健マニュアル2014」より)
材料:市販のガーゼと化粧用のコットン

  1. ガーゼを縦横10cm程度に切り、2枚用意
  2. 化粧用のコットンを丸めて、1枚のガーゼでくるむ(インナーマスク)
  3. 市販の不織布のマスクにもう1枚のガーゼを4つ折りにしてあてる
  4. 鼻の下にガーゼでくるんだコットン(インナーマスク)を置く
  5. 3.のガーゼをあてたマスクを装着する
  6. 息が苦しい場合にはコットンの厚さを半分にする

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一般的に花粉の多い時間帯は昼前後と日没後です。午前中、山間部で発生した花粉が風に乗り、昼頃に都市部にやって来ます。また、上空に舞った花粉は日没頃に地上に降ってくると想定されています。このような花粉濃度の高い時間帯は外出を控えるのが賢明でしょう。環境省の花粉情報サイト(http://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/)をはじめインターネット上には花粉の飛散状況がリアルタイムでわかるサイトもあるので、外出前にチェックしてみるのもいいでしょう。

PM2.5が花粉症をさらに悪化させる?!

花粉とともに問題になっているのが「PM2.5」です。よく聞く言葉ですが、あらためておさらいすると「PM」は「Particulate Matter(粒子状物質)」の頭文字で、PM2.5は粒子が2.5マイクロメートル(髪の毛の太さの1/30程度)以下の大気中に浮遊する微小粒子状物質のこと。その成分には炭素、硝酸塩、硫酸塩、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどが含まれています。発生源はボイラーや焼却炉などばい煙を発生する施設、さらに自動車や船舶などがあげられ、家庭内でも喫煙や調理、ストーブなどから発生します。これらのように直接発生するもののほかに、大気中の化学物質同士が反応することで作られるものもあります。
PM2.5は花粉よりも粒子が小さく、肺の奥まで入って粘膜や気道に炎症を起こします。だから喘息や気管支炎にかかる危険性が高く、それだけでなく肺がんの発症リスクの上昇も懸念されています。
このPM2.5は冬から春にかけて濃度が高まりやすく、ちょうど花粉症が増える時期と重なります。まさに今は危険な浮遊物質のダブルパンチに見舞われたような状況です。
さらに悪いことに、PM2.5によって花粉の悪性度が増加すると警鐘を鳴らす研究者もいます。花粉症などのアレルギー反応では、アレルギー物質とともにアジュバントと呼ばれる物質が体内に入るとアレルギー反応が促進されます。「アジュバント」とは「助ける」「補助」といった意味です。アレルギー反応を助けるのですから、私たちにとってはまったくありがたくないものなのですが、PM2.5がこのアジュバントであると考えられています。大気中に漂う花粉にPM2.5が付着することで、より花粉症への影響が高まるのです。
どういうことか説明しましょう。
スギ花粉の粒子1つ1つの殻の中にアレルギー物質が入っており、雨水などの湿気を吸って膨張したり、人が靴で踏みつけて割れることでより細かいアレルギー物質が飛び出します。PM2.5は花粉の殻に傷をつけるため、花粉を割れやすくするのです。割れた花粉からまき散らされるアレルギー物質はPM2.5同様、肺の奥や血管まで侵入し、花粉症よりもさらに重い肺や心臓疾患の発症にもつながります。

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君子、花粉・PM2.5に近寄らず

残念ながら花粉もPM2.5も身のまわりから完全にシャットアウトするのは難しそうです。今できる最善の防衛策は花粉やPM2.5との接触をできるだけ避けることでしょう。春めいた日には思いっきりまどを開けて換気したくなりますが、花粉症予防にはマイナスです。換気、窓の開閉を少なくして外気が入ってくるのを避けましょう。
PM2.5の影響についてはまだわかっていないことも多く、呼吸器や循環器の病気のある方、高齢の方、幼児などはより大きい影響を受ける可能性もあります。普段からの健康管理とともに、大気中のPM2.5濃度が高い日は体調に注意してお過ごしください。

【参考資料】
環境省「花粉症環境保健マニュアル2014」、「微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報」ほか

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