大人の食育

第2回 「いただきます」と「ごちそうさま」の意味

「いただきます」と「ごちそうさま」の意味

いただきます普段、食事の前と後に使っている言葉ですが、「いただきます」は、神仏に供えた食物を高い位置(頂き)から下げて有難く食す、と同時に、命ある自然のものを、自分の命のために犠牲にして生きていることへの感謝。一方、「ごちそうさま」は「馳」、「走」ともに「はしる」の意味で、もてなすために走り回り獲物をとってきてくれたことへのお礼と感謝で、二つの言葉は「心の栄養」として大切にしたいものです。環境分野でノーベル平和賞を受賞したケニア出身の環境保護活動家、ワンガリ・マータイさんが紹介して世界中へ広まった「もったいない」も、食に関わることの多い日本の大切な言葉。第二回大人の食育は、食べることの感謝と現代の食糧事情を学んでいきます。

日本の飽食の現状と世界の食料事情
「もったいない!」日本で毎年捨てられている食べ物1700万トン

これは1年間に消費する食べ物(8500万トン)の約2割です。この中には、食べ残しや賞味期限切れなど、まだ食べられるのに捨てられた食べ物「食品ロス」約500~800万トンも含まれています。これは、日本の米の年間収穫量850万トンに匹敵し、世界で飢えに苦しむ人々に向けた世界の食料援助量(年間約390万トン)の約2倍の量です。
“食品ロス”を考えよう

廃棄の原因は、売れ残りや食べ残しだけでなく、農産物も規格外であったり、豊作で価格維持のためなど理由もさまざまです。食品関連事業者からが300~400万トン、これに並び一般家庭からも200~400万トンという廃棄物は、大きな課題です。もちろん飼料、肥料、エネルギーとして再生利用はされていますが、今後私たちにできることは何でしょう?

食品ロスへの取り組み
  • 廃棄の抑制は、「もったいない」の精神と同時に、コスト削減にも繋がるところから、食品関連事業者に対しては、食品リサイクル法に基づく「食品廃棄物等の発生抑制目標値」が設定され、26年4月から試行されました。
  • また、食品期限見直しから「業者納品期限緩和」、「賞味期限延長」等に対する取り組みもスタートされます。意外に知らなかったのが、「食料品の販売期間は賞味期限の2/3の時点まで」という流通業界の商慣習で、賞味期限が残り1/3以下の加工品は店頭販売されず、返品や廃棄の対象になることです。これも26年度からの取り組みで、納品1/2以上(販売期限は小売で設定)の方向ですすめられています。
  • フードバンクに寄付することで食品ロス削減
    包装の印字ミスや賞味期限が近いなど、食品の品質には問題がないが、通常の販売が困難な食品・食材を企業や農家などから引き取って、福祉施設や支援団体などに無償で提供するフードバンクはボランティアとして日本では約40団体が活動しています。ちなみに米国では年間200万トンの食品が有効活用されています。
  • 私たち一人ひとりも、個人の責任により食べ残しを持ち帰る、外食・内食でも食べ切りを心がける、エコクッキングなど意識・行動を改めるところから始めましょう!

日本の食料自給率は39%(平成23年度)、と大半を輸入に頼っています。これは、世界の先進国の中では最低の水準です。

食料自給率の推移
各国の食料自給率※農林水産省HPより抜粋

世界の食料事情世界の食料事情
飢えで苦しむ人口は、FAOなどの報告では、約9億人といわれ、毎日4~5万人が亡くなっています(うち7割以上が子どもです)。
食糧が足りているのに飢餓が起こる?

現在、世界で生産される穀物量は年間約22億トンです。これは2012年の世界人口69億人1人当たりにすれば約320kgで、1年間1人当たりの標準量とされる180kgをはるかに超えています。

食料が不足している原因は?
  • 天災や内戦により充分な食料が育てられず、援助だけでは賄えない国がある
  • 先進国が後進国の食料を輸入でうばっている場合もある
  • 豊かな国の人々が栄養を摂り過ぎている
  • 食べ残しや廃棄など食料をムダにしている
  • 食肉用の家畜や養殖魚の飼料として穀物などが使われている
世界人口は今後増え続け、2050年には90億人になるといわれています。食料の需要はますます増えますが、これに対する供給は大丈夫でしょうか?

今後起こると考えられる食糧需給に関係する問題

  • 地球環境問題:温暖化により気温上昇、海面上昇、豪雨、干ばつなど農業への影響
    海水温や海流の変化、海洋汚染などが及ぼす漁獲量への影響
  • 水不足
  • 農地の減少、劣化
  • 人々の生活内容の変化(発展途上国もやがて先進国に近い食事となる等)

飢えによる栄養失調、病気のほか、飽食による生活習慣病などの増加も考えられます。その結果、多くの病人を抱えることで食べ物以外のところでお金がかかり、食費が不足したり、労働人口が減少するのでは、と不安の種は尽きません。
子どもの頃から国際人としての視野を広げ、自分たちが今できることは何かを共有しながら生きていきましょう!

 

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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