大人の食育

第6回 知っているけど、分かりにくい、「ポリフェノール」の秘密

知っているけど、分かりにくい、「ポリフェノール」の秘密

知っているけど、分かりにくい、「ポリフェノール」の秘密9月も半ばを過ぎると、スーパーにも実りの秋を感じさせる野菜や果物が並びますね。野菜や果物を目にすると、赤ブドウ酒で一躍有名になった「ポリフェノール」という言葉を思い出します。近年、リンゴポリフェノール、ケルセチンなどそうした成分の新種が次々に確認され、健康との関係が明らかにされていますが、いまひとつわかりづらいという人も多いのではないでしょうか?
こうした成分をひも解くキーワードは「ファイトケミカル」。そもそも「ポリフェノール」は、このファイトケミカルの代表的な成分なのです。

七大栄養素の一つ、「ファイトケミカル」って?
七大栄養素の一つ、「ファイトケミカル」って?
ファイトケミカルは、野菜や果物など植物が持つ化学成分のことで、ギリシャ語で植物を表すファイト(phyto)と英語の化学(chemical)を組み合わせた造語です。1990年に米国の国立ガン研究所が始めた「デザイナーズフーズ・プログラム」や80年代に日本で提唱された「機能性食品」の研究で、食品とガンの関係を科学的に調べた結果、野菜や果物には老化やガンの予防効果があることがわかったのです。また、ビタミン、ミネラルなどの栄養素、食物繊維はもちろん、ポリフェノールのような「非栄養素」も身体の健康維持・増進に役立つ作用(生体調整機能)を持つこともわかり、それらを総称してファイトケミカルと呼ぶようになったのです。現在では、生命を維持するのに必要な三大栄養素に、ファイトケミカルをはじめ以下のようなものが追加され、七大栄養素と呼ばれることもあるのです。

三大栄養素/糖質・タンパク質・脂質
五大栄養素/ビタミン・ミネラル
六大栄養素/食物繊維
七大栄養素/ファイトケミカル(ポリフェノール、カロテノイド、ビタミンC、ビタミンE等)
★ビタミンCやビタミンEは栄養素であっても、生体調節機能を持っています。

ファイトケミカルは植物が紫外線や外的な刺激(虫等)から身を守るために生成する。
ファイトケミカルの働き
ファイトケミカルの機能で注目されるのは、抗酸化作用です。
植物は紫外線の害から身を守るために、色素やアクの成分を作り出していると考えられています。この成分は人間にとっても有効なのです。
人の身体の中でエネルギーを生み出すには酸素を取り入れなければなりませんが、そのとき一部(約2%)の酸素は化学変化を起こして、「活性酸素」を発生します。活性酸素は細菌などをやっつける作用はありますが、過剰に発生すると、がん、生活習慣病、アレルギー疾患、老人性認知症などを引き起こす要因となると言われています。ファイトケミカルは発生した活性酸素を封じ込め無害化することによって身体の酸化を防ぐのです。

これまで判明しているファイトケミカルの成分は約1500種類ほどありますが、未知の成分は1万種以上あるといわれています。

注目される主なファイトケミカル

種類 含まれる主な食品
ポリフェノール
(フラボノイド系)
アントシアニン類 ブルーベリー、ブドウ
イソフラボン類 大豆
フラボン類 セロリ、パセリ、ピーマン
フラバノール(カテキン)類 緑茶、果実類、カカオ
フラバノール(ケルセチン)類 ブロッコリー、タマネギ
フラバノン類 かんきつ類の果皮
カロテノイド α-カロテン ニンジン、カボチャ
β-カロテン ニンジン、カボチャ、トマト
β-クリプトキサンチン ミカン、ほうれん草
リコピン トマト、スイカ
ルテイン ほうれん草、ブロッコリー
ゼアキサンチン カボチャ、トウモロコシ、桃
含硫化合物 イソチオシアネート系 ダイコン、ワサビ
システインスルホキシド系 タマネギ、キャベツ

他にもテルペン類・・・・リモネン(レモン、オレンジなど柑橘類の香りや苦味成分)→ガン細胞を抑制する
β-グルカン・・・・キノコ類や酵母など→免疫力を高める

ポリフェノールって何だろう?

ポリフェノールって何だろう?
ファイトケミカルの一つであるポリフェノールですが、これは一つの成分ではなく、前述の抗酸化作用以外にも個々の成分によって独自の機能性があることが確認されています。

  • アントシアニン(ブルーベリー、赤ワインなど)→視力回復、肝機能の向上
  • カカオマスポリフェノール(ココアなど)→アレルギー抑制、疲労回復
  • ルチン(そば)→血管強化、血圧降下
  • フェルラ(玄米など)→しみ防止
  • カテキン(緑茶など)→殺菌作用、虫歯・口臭予防、血圧上昇抑制、発ガン抑制
  • イソフラボン(大豆)→女性ホルモンのバランス調整、冷え性改善
  • クルクミン(ターメリック)→肝機能強化、胆汁の分泌促進
  • ショウガオール(ショウガ)→殺菌作用、胃液の分泌促進
  • リンゴポリフェノール(リンゴ)→コレステロールの吸収抑制
  • ケルセチン(タマネギ、リンゴ、ブロッコリーなど)→コレステロール吸収抑制

★ポリフェノールの多くは水に溶けやすい形で含まれているため、吸収されやすく、摂取してから30分後には効果が出始めるといわれています。ただし、一度に大量に摂取しても、その持続性は2~3時間だそうですから、毎食食べるほうが効果的です。

★野菜の皮には豊富な栄養成分が含まれています。水に晒すと出るアクはポリフェノールです。ニンジンの皮、ゴボウの皮、サツマイモの皮などは使い切りましょう。

 

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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