大人の食育

第7回 「ヘルシー」な和食の落とし穴

「ヘルシー」な和食の落とし穴

「ヘルシー」な和食の落とし穴食欲の秋! 食も四季のある日本ならではの楽しみのひとつですね。
日本人の伝統的な食文化・和食がユネスコ無形文化財に登録され、世界的に認められた「和食」とは、いったいどういうものなのでしょうか?
大人の食育第7回は、私たちにとって最も身近な「和食」と健康について学んでみましょう。

そもそも和食ってどんなもの?

そもそも、和食ってどんなもの?
私たちは、何気なく「和食」と口にしていますが、そもそも和食とはどのような料理なのでしょうか?農林水産省は和食の特徴について、以下のようにまとめています。

  1. 多様で新鮮な食材と素材の味わいを活用
  2. バランスがよく、健康的食生活
  3. 自然の美しさの表現
  4. 年中行事との関わりがある

この中で「バランスがよい」とは、和食の基本は一汁三菜であるということが上げられます。これは“汁”と“香の物”、これに焼き物や煮物、和え物などの“菜”が3品添えられるという組み合わせです(ご飯、香の物は必ず付いてくるので数えない)。
これにより野菜や魚介などをバランスよく食卓に盛り込むことができ、健康的な栄養バランスが取れるということです。古くから私たちが食べてきた食卓のスタイルが、実は健康に配慮されたものでもあったのです。

知らず知らずのうちに、塩漬けになっていませんか?

知らず知らずのうちに、塩漬けになっていませんか?
しかし、「健康的」といわれる和食にも、一つ問題が。それは塩分です。和食では、塩分の使用が大きな役割を占めており、香の物(漬けるのに塩を使いますね)や、汁物を含むと、かなり「塩分控えめ」を意識していても摂りすぎてしまいます。
実際に和食で使われる食材のうち塩分の多いものを並べると、しょうゆ、漬物類、食塩、塩干魚、味噌汁・スープ、麺類のつゆ、パン類、かまぼこ・ちくわ、ハム・ソーセージ、鮮魚の順となります。食塩そのものより調味料や加工品からの塩分が多いのです。そこで近年、新しいタイプの減塩食品(調味料、加工食品)が多く登場するようになったのです(大人の食育第4回参照)。

人間がお美味しいと感じる塩分は、0.6~1.2%

人間の体は約60%が水分で、水分量の0.85%が塩分です。からだはバランスを保つために、からだの塩分量0.9%を美味しく感ずるとされ、調味のめやすとしてきました。
味付けは国内でも地方によって多少異なりますが、食品の栽培法や品質改良などから素材の味も変化し、食べる人の味覚も変わってきています。
現代の一般的に好まれる「標準の味・塩分」をまとめたものをご紹介します。健康のために、きちっと計量して塩分量を覚えておくと便利です。

料理の調味(塩分)パーセント

料理名 材料 塩分 備考
(汁もの)
一番だし 昆布、カツオだし 0.09%
二番だし 昆布、カツオだし 0.02%
昆布だし だし 0.05%
煮干だし だし 0.10%
すまし汁 だし 0.5~0.7% 具材の塩分、だしの重量から1人分の塩分を算出
味噌汁 だし 0.5~0.8% 上記と同じ※味噌の種類は別表記
(焼きもの)
魚の塩焼き 1~3% 魚の種類、鮮度で異なる
魚の照り焼き 1.50%
魚のつけ焼き 1.2~1.5%
魚の黄身焼き 1.20% 魚の下処理で塩1.0%をふる。黄身に加える塩は0.2%
(煮物)
魚の煮付け 1.5~2.0% 魚の種類、鮮度で異なる
サバの味噌煮 1.5~2.5%
里芋の煮物 1.2~1.5%
青菜の煮浸し 青菜 1~1.2%
(ご飯もの)
炊き込みご飯 1.5~1.7%
すし飯 1.2~1.5%
(その他)
お浸し 野菜など材料 1~1.5%
茶碗むし 卵液 0.5~0.8%

計量スプンによる調味料の重量および塩分換算表(5訂食品成分表から算出)

食品名 小匙(5ml) 大匙(15ml) 備考
あら塩 5g=塩分5g 15g=塩分15g
食塩 6g=塩分6g 18g=塩分18g
精製塩 6g=塩分6g 18g=塩分18g
濃い口しょうゆ 6g=塩分0.9g 18g=塩分2.6g ※塩分14.5%
うす口しょうゆ 6g=塩分1g 18g=塩分2.9g ※塩分16.0%
白しょうゆ 6g=塩分0.9g 18g=塩分2.6g ※塩分14.2%
刺身しょうゆ 6g=塩分0.7g 18g=塩分2.1g ※塩分11.9%
減塩しょうゆ 6g=塩分0.5g 18g=塩分1.4g ※塩分7.5%
米味噌甘味噌 18g=塩分1.1g ※塩分6.1%
米味噌淡色辛味噌 18g=塩分2.2g ※塩分12.4%
米味噌赤色辛味噌 18g=塩分2.3g ※塩分13.0%
麦味噌 18g=塩分1.9g ※塩分10.7%
豆味噌 18g=塩分2.0g ※塩分10.9%
減塩味噌 18g=塩分0.9g ※塩分5.2%

中食や外食1人分の塩分をみるのもいいですね。1例ですが、
カレーライス(3.3g)親子丼(4.0g)うな重(3.9g)サケ弁当(5.5g)幕の内弁当(4.1g)握りずし7貫(1.8g)江戸前ちらしずし(3.7g)天ぷらそば(4.6g)ラーメン(6.3g)焼きそば(2.7g)ざるそば(テイクアウト・3.2g)

○和風麺類・・・そば、うどん(麺200g)は、つけ汁・かけ汁(汁80ml~300ml)1人分の塩分量は2.5g~3.0gです。・・・ちなみに上記の天ぷらそばは、つゆ400mlです。
以下は作るときのめやす塩分%です。
○酢の物・・・0.7%(黄身酢0.5%)
○和風の和え物の衣・・・木の芽和え、白和え、ごま和え、ごま酢和え、味噌和え、ピーナツ和え、梅肉和えは0.8~1.5%
○漬物・・・即席漬け(1.2~2.0%)、ぬか漬け(1.2~2.2%)、梅干(15%)

はじめてみよう、減塩生活

はじめてみよう、減塩生活
減塩食品は従来のものに比べると、やや割高なので・・・という声もきかれますが、自分自身や家族の健康を考えると、もう一度見直してみませんか。

  1. 1回の食事のパターンを、一汁二菜(主食、汁物、主菜、副菜)にして主菜・副菜それぞれめりはりをつけ味に工夫をします。汁ものは野菜など具だくさんにすれば、汁の量が少なくなり薄味にはなりません。
  2. 焼き魚は酒や酢を下味に使って臭みを消し、かけしょうゆは控えて、スダチ、レモン、ダイコン、七味、山椒、辛子(粒マスタード)など風味や酸味で食べるといいでしょう。
  3. 和え物の場合もごま、ピーナツ、くるみなど香りと味のよい組み合わせを。また昆布、桜エビ、じゃこなどを加え自然の塩分を利用した和え物も新鮮です。
  4. 青菜を茹でる場合には、塩の代わりに砂糖を用いても色よく仕上がります。じゃが芋の場合にも応用すれば、独特のえぐみ抜き、柔らかく茹で上がる、ほんのりとした甘みも加わるなど利点もあります。
  5. 豆腐などにしょうゆをかける場合は、薬味は後から載せる方がしょうゆのかけすぎを防げます。
  6. 下調理で塩をふる場合は塩水を利用すると効果的です。例えばきゅうりなどは塩水(たて塩に昆布を加える)の中に切り落とす。魚や肉類にも塩水をかけるなどすれば、塩味がまんべんなく行き渡ります。
  7. 調味料を控えても、あんかけにすれば素材に絡まりやすく食べやすくなります。またここに香草や香辛料(ショウガ、ねぎ、シソ、茗荷など)を合わせると味わいが増します。
  8. キノコは香り、旨みがあるので、塩気をあまり必要としません。焼き物、和え物、蒸し物、ご飯ものなど料理のレパートリーも広がります。
  9. 酸味と旨みを生かせるのがトマト。炒め物、煮物(おでんなど)、和え物、酢の物など塩分をまろやかにしてくれ、和食にもぴったりです。

 

nutrituion.ueda.name

nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

nutrituion.content

このページの先頭へ