大人の食育

第8回 食卓に季節はありますか?

「ヘルシー」な和食の落とし穴

秋も深まり、木々の紅葉が美しい時期ですが、実はこれ、冬の到来に備えての準備なのですね。葉に水分や栄養を送らず、幹と根にしっかり栄養を蓄えて、厳しい寒さを乗り越えるのです。食物も同じで、大地の恵みの野菜、潮の流れにのってやってくる魚など、旬の美味しさは格別です。

あなたの食卓に「季節」は見つかりますか?

あなたの食卓に「季節」は見つかりますか?
焼きサンマ、マツタケご飯と聞くだけで秋を連想し、ブリ、カニ、柚子に鍋料理を思い浮かべるように、食卓には季節の食材を使った料理が並びます。ハウス栽培の野菜、養殖魚、冷凍魚なども増えましたが、その時期にしか出回らない食品もまだまだ多いようです。

料理屋さんなどでは、出始めの「走り」、最盛期の「盛り」、そろそろ終わりになる「名残り」という言葉を使いますが、家庭では、一番安くて美味しい「盛り」のものを使うようにしましょう。露地栽培されたもの(露地もの)や天然魚は、天候に左右され、価格も安定しにくいのですが、味や栄養価では軍配が上がるはずです。
簡単に季節感を出す方法として、「ご飯」はいかがでしょう。

1月 小豆ご飯(粥) 2月 大豆ご飯
3月 ちらし寿司 4月 桜ご飯、タケノコご飯
5月 新茶ご飯、豆ご飯 6月 青しそご飯
7月 生姜ご飯 8月 枝豆ご飯
9月 枝豆ご飯、里芋ご飯 10月 栗ご飯、マツタケご飯
11月 キノコご飯 12月 大根ご飯

また、果物もハウスものを除けば、季節のものです。期間が長いものと、短いものがありますが、一度は食卓を彩ると嬉しいものです。春はイチゴ、びわ、夏は夏みかん、ブルーベリー、マンゴ、メロン、桃。晩夏から初秋にかけていちじく、秋はナシ、ブドウ、カキ、クリ、リンゴ、冬はミカン、キンカン、キウイフルーツなど。そのままデザートとして食べるほか、サラダやソースにも使います。また、カキなます、イチジクのあんかけ、豚肉のリンゴ煮など料理としても大活躍してくれます。

季節によって、同じ食べ物でも栄養価が違う!?

季節によって、同じ食べ物でも栄養価が違う!?
旬の食物は養分が豊富なことはよく知られています。例えば、ほうれん草に含まれているビタミンCの含有量をみると、冬採りは夏採りの3倍(後述の寒締めほうれん草は4倍)です。
ジャガイモ、タマネギ、キャベツなどは、「新」が付く時期がありますが、これは出始め、走りのことでしょうか?
カブは冬野菜のイメージが強いのですが、旬はいつですか?

旬の時期がわからなくなってしまうので→旬の野菜・果物表を参考にして、旬の栄養価の高い食材をからだに摂り入れましょう。
また、品種や種まき時期によって収穫の時期も異なり、ジャガイモでは5~6月と9~12月、カブは3月と秋、キャベツは春と冬のように、1年に2回の旬を持つ野菜もあります。ハウス栽培のほうれん草も、収穫前にハウスの出入り口を開放し、冷たい外気が自由に吹き抜けるようにして、昼夜を通して放置すると、葉がちぢみ「寒締めほうれん草」となります。収穫は12月半ばからですが、糖度が高く、ビタミンC・E、β-カロテンも豊富です。
魚の旬は、産卵する前の脂がのった時というのが一般的です。季節によって美味しいとされる魚は→春、夏、秋、冬を参照ください。
肉にも旬があります。牛が干草を食べると風味もよくなると言われ、晩秋から冬が脂を蓄えて美味しい時期になります。夏は食欲も落ち、水をよく飲むので、肉質が水っぽくなります。また、肉は熟成されると旨みが増します。牛肉は零度に保ち約1ヶ月以上寝かせます。魚でも天然フグは12月~3月が旬ですが、捌いてから一晩寝かせて薄造りにします。白身魚も12時間ほど経った方が美味しいのです。アサリ、シジミなどの貝類も洗って一度冷凍すると旨みが増すことが知られています。いずれも時間が経つと酵素の働きによりタンパク質が分解され、旨み成分(イノシン酸、アミノ酸、コハク酸)が増えるからです。

旬の野菜・果物表

新キャベツ たらのめ かぼちゃ レタス メロン
菜の花 つくし トマト らっきょ
せり わらび きゅうり エリンギ マンゴ-
ふき ルッコラ うり バジル ブルーベリー
ぜんまい のざわな 冬瓜 しょうが パパイア
たけのこ いちご ゴーヤ 紫蘇 びわ
グリンピース レッドキャベツ とうもろこし サニーレタス パイナップル
スナップえんどう よもぎ みょうが サラダ菜 すもも
おかひじき ごぼう にんにく そら豆 うめ
アスパラガス ささげ 枝豆 ずいき パッションフルーツ
新たまねぎ しし唐辛子 ズッキーニ みつば
さやえんどう さやいんげん モロヘイヤ パクチョイ
明日葉 オクラ ラディシュ リーフレタス
うど 青じそ 唐辛子 ルバーブ
ふきのとう ピーマン かいわれ大根 つるむらさき
とうみょう なす すいか じゃがいも
にんじん パプリカ 夏みかん さくらんぼ
えのきだけ ヤマイモ セロリー キウイフルーツ
きくらげ 落花生 みずな

きんかん
ぎんなん リーキ だいこん みかん
しいたけ 柚子 カリフラワ- わけぎ
しめじ ぶどう たかな さんとうさい
なめたけ くり 春菊 チコリー
ひらたけ いちじく チンゲン菜 トレビス
ぶなしめじ りんご 白菜 なばな
まいたけ なし ほうれん草
まつたけ かき ねぎ
くわい ライム カブ
さつまいも かぼす 大根
サトイモ すだち ブロッコリー
とんぶり レモン ゆり根
長いも なめこ にら
ビート めきゃべつ
むかご れんこん

季節に美味しい魚

アイナメ アジ イセエビ イイダコ
アマダイ アナゴ イワシ イトヨリ
イワナ アユ カサゴ ウマズラハギ
クロダイ イサキ カマス カレイ
サヨリ イシモチ カンパチ カワハギ
サワラ 戻りカツオ 毛ガニ キンメダイ
シロギス スズキ サケ スミイカ
トビウオ スルメイカ サバ 無頭エビ
ニジマス タチウオ サンマ タラ
マダイ ヒラマサ ヒラメ
メバル マゴチ ブリ
マダコ ホウボウ
ワタリガニ マグロ
ヤリイカ
ワカサギ
カキ
サザエ
魚の卵
身体を温める食べ物、冷やす食べ物

身体を温める食べ物、冷やす食べ物
旬の食物は、からだにとってその時々に必要な栄養分が満たされています。例えば、春には苦味のあるフキノトウやウド、菜の花などが旬を迎えます。冬が終わり、人の体も新陳代謝が活発になると、眠っていた細胞を目覚めさせる働きのある苦味成分(アルカロイド)が必要なのです。

 夏は、水分やビタミン類を多く含むトマト、ナス、キュウリ、スイカ、メロンなどが旬ですが、体を冷やしたり、むくみを取るなどの働きをします。また、暑さで弱った胃腸を刺激して、消化を助けたり、利尿を促すなどの効果のある野菜や果物も旬なのです。秋は、体に栄養を蓄えて冬を迎える準備をしている葉物(巻物野菜)やキノコが旬を迎えます。春菊、白菜、ブロッコリーのほか、蓮根、サツマイモ、サトイモ、ヤマイモなど土に埋まっているものも旬です。
冬は、食物繊維が多く、長時間熱を加えて調理する根菜類が旬といえます。体を冷やすこともなく、エネルギーとなって内側から温め、活発にしてくれるもの、ネギ、ユリ根、(丸)大根、カブラなどがこれに該当します。

 

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nutrituion.ueda.image 京都生まれ、京都育ち。
病院・保健所・役所などに勤務後、雑誌の企画・編集・執筆に携わる。やがて、伝統ある町の魅力を全国に伝えるかたわら、食の専門家としても活動を開始。料理本の企画・執筆、栄養指導を経て、やがて京都のおばんざい教室『よろしゅうおあがり』を立ち上げる。こうした経験をいかし、現在も医療の現場や企業での栄養管理・指導にまで活躍の場を広げ、今もさまざまな料理レシピを生みだし続けている。

 

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